10月8日(土) 警視庁ヘリコプターおおとり 観測者:中田節也・中野 俊(地質調査所) 天候:高曇 東京へリポート9:04発 三宅島上空9:55頃 8000フィートから次第に高度を下げ6000フィート程度までカルデラの縁を周回す る。カルデラの東側を北から南に移動し、往復した後、レストハウス上から噴煙の 上を通り、カルデラを右に見ながら一周し、新鼻付近から高度を下げて神着まで周 回道路を観察して、離脱する。 噴煙高度は約7000フィート(約2000m)。 一旦カルデラの南壁に沿って上昇した噴煙は東風に流されて西側にたなびく(阿古 〜伊ケ谷方向)。レストハウスや阿古の北側には青色ガスが漂っている。上空では硫 黄臭がするが、硫化水素検出器は0ppm。警視庁が持ち込んだ検出器(硫化水素、酸 素、一酸化炭素を測定できる)は酸素濃度15%前後で警報を鳴らし続けたが、これは 高度を上げたせいであろう。後者はすぐバッテリーが無くなった。 カルデラの内部は、ガスが充満して視程が悪いが、昨日までと大きな変化が見られない。 噴煙は主火口から勢いが良いが、両脇に噴気孔は勢いがない。噴煙の色は真っ白。 北東側の水溜まりは赤茶けた色のまま。その西の崩落堆積物の盛り上がり方にも特 に変化がないようだ。 カルデラ底西側に火口から流れこんだ(?)泥流の湿地帯は昨日のままで、水に飽和 した状態。水面が太陽光線に反射している。 北西から北東にかけて崖は最近の崩落によって茶褐色の岩肌がむき出しになっている。 カルデラの輪郭にも大きな変化が見られない。 東京ヘリポート11:32着 フライト後気象庁に観測結果を報告。 気象庁によるとこの日の朝のSO2放出量は約3万5千トン。火口の表面温度は125℃ とのこと。 (注)間違ってカルデラ内部にヘリが入った時用に、対地高度計の測定限界をパイ ロットたずねたが、1500フィートとのこと。カルデラ壁上面すれすれの高度でな いかぎり、ヘリの対地高度計では標高を出せない。アイセーフレーザーを三宅から 早く取り戻す必要あり。