三宅島ヘリ観察メモ 2000年10月11日(水) 観測支援: 航空自衛隊入間基地ヘリ輸送隊 搭乗者 : 伊藤順一・大島 治 離陸時刻: 09:08  着陸時刻: 11:21 観察時刻: 10:00〜10:27 天 候 : 曇  東京は晴(高曇)ながら南に低気圧あり、南下するほどべた一面の雲となり視程も悪 化。風向きは下層は弱い北東の風、上方は南寄りの風、との事前情報で噴煙を避けての 進入方法にやや苦慮。 飛行コース・状況 :   三宅島付近に到着するも雲の中で島影すら目視できず。当初高度2500ft (800m超)ほどで飛行、山に激突の恐れはない。 右旋回するうちにやがて垂れこめた雲間から海上に護衛艦、続いて大久保浜を確認、現 在地を島の北岸沖と知る。(パイロットはもともとわかっていたに違いない。)  高度を落とし海岸沿いに(南西側阿古方面へ)飛行。しかし雲量多く山頂火口はもと より、山体すら確とは見えない。 南下につれ雲は少なめになり視界も明るくなって、阿古の街並みはほぼ全景が見える (飛行高度300m程度か)。その上方、村営牧場背後の南西斜面から二男山あたりま でのりょう線が雲の切れ間からかすかに見えるもヘリでこのまま「登山」には不適。  阿古錆が浜を過ぎ更に南海岸へ回り込もうとすると再び「雲」がかかり、二酸化硫黄 の臭いが立ちこめる。操縦席からは雲と白色噴煙との区別が明瞭ではなかったようで、 これで噴煙の所在とその漂う向きを体験的に確認。  機はUターン、しかし雲は北側ほど厚いため、南東側から山頂に接近することを提 案、機は噴煙を尻目に海岸沿いを時計回りに。最初の進入時と同じく北東側は雲が厚 く、目視不能、操縦席ではワイパーをかける。  やっと地上が見えたのは空港上手(金層上空)、そのまま南下して坪田の町並み続い て三宅高校の水溜り(八重間)にかかるや、前方大路池から先(西)にははっきりと腹 を下る白煙が見える。 その最下層には紛れもなく二酸化硫黄と見える青白いモヤが漂っている。  機は仕方なく左旋回で再びUターン、山腹上方は雲がかかり山頂火口内観察は不可。 本日の火口観察は無理と判断、一周都道沿いの異常有無(特に昨日〜一昨日?の雨によ る新たな泥流被害など無いかの)点検に移る。低空(目測高度200m程度?)で飛行 してもらう。  坪田の町並みは平常時と変わらず。従前どおり車道はセンターラインも見える。空港 際の道路は、これも従前どおり、若干泥につかっている模様。 村役場に入っていく車(ジープ?ジムニー?)あり。沖ケ平・三池浜付近も町並みは平 常時と変わらず。三池北方で南下する黄色い車(東電?)を見かける。  赤場暁中央付近の泥流通過跡の道路は相変わらず泥っぽく見えるが通行に大した支障 はなさそう。神着〜伊ケ谷にかけての道路沿いも特に異常を認めず。阿古も同。  阿古で再度Uターン、より低空(目測高度100m程度?)で阿古から伊ケ谷にかけ ての海蝕崖の崩落状況を見つつ(約半分は露頭となっている)、伊豆岬より帰投。 山頂火口(カルデラ)の状況: 観察不能。 噴煙の状況:  高度不明(上限は雲の中)。山頂から南(大路池)〜南西(富賀神社)にかけての 45度の範囲にたなびく。(風弱い?)。下面に二酸化硫黄と見える青白いモヤを伴 う。噴煙内は二酸化硫黄の臭い明瞭。 山麓・居住地の新たな被害: 特に認められず。 (大島 治)