2000年11月8日(水) 1.観測支援: 警視庁 ヘリ「おおとり5号」 JA6726号機        (機長;岸田、副機長;新村、後列中央席;? のクルー3氏) 2.搭乗者 : 川辺(地調)・大島。(2名とも左後窓側、ただし窓は開かない)         他に、警視庁1名。(右後窓側) 3.離陸時刻: 09:14 〜 着陸時刻: 11:50頃? (東京ヘリポート発着) 4.現地観察時刻: 10:12〜10:55 (の約40分間) 5.天 候 : 晴。 西の風。噴煙は東へ。        (海岸部では瓢箪山〜空港南の範囲が噴煙下)         上空に雲なく、新カルデラ俯瞰可能。 6.飛行コース・状況 :   <往復コース> 東京ヘリポート〜横浜〜葉山〜城ケ島〜        大久保浜から進入 > 三宅島 > 大久保浜より離脱        〜伊豆大島(差木地/カルデラ東部/泉津)〜城ケ島〜葉山〜横浜〜        東京ヘリポート  <三宅島観察コース> 大久保浜から進入後しばらく低空右旋回2回。その間こちら左窓からは空と海と伊豆地区の 山腹山林地帯が見えるのみ。右窓からは、三宅中学校グランドに敷設中のヘリポート視察の 模様。その後徐々に高度を上げて西中腹を村営牧場方面へ南下、西〜南西斜面の荒廃状況を 見て行く。二男山で右旋回、中腹上を神着までもどり、スオウ穴を起点に活動状況とカルデ ラの観察に入る。  噴煙が東へたなびいているため、主に西側カルデラ縁沿いからの観察となる。高度をかえ て3回(3500〜6000ft)、初めはレストハウス付近まで、その後は南縁〜噴煙沿 いに坪田まで。最後は東縁上で噴煙をまたぎ、スオウ穴を経て大久保浜付近から北へ離脱。 7.噴煙の状況(と二酸化硫黄、硫黄臭):  西風を受けて噴煙は東にたなびいている。純白色、灰を混えず。よく見ると、噴煙はほぼ 連続的ながらパルス状に上がり、風で45度程度に倒れた噴煙柱が横並びで東に移動しなが ら拡散している。噴煙柱と次の柱の間にわずかに隙間があく(谷間から向こうの景色が見通 せる)こともあり、以前に較べて蒸気排出が弱まってきている印象を与える。噴煙柱の高さ は多少まちまちだが目測約1200m程度。ヘリでまたいだ時(10:53)のヘリの安全 高度は5500ft(=1665m)だった。  噴煙の島内分布は海岸部では瓢箪山〜坪田の範囲(火口から60度強の扇状)、東斜面を はう噴煙下部と両側には、青白いガスが漂っている。南側で噴煙に接近した際には硫黄臭が 感じられた。 8.山頂火口(カルデラ)の状況: カルデラ壁拡大。噴煙(噴気)火口に大きな変化はない。 <噴煙火口周辺> 特に大きな変化は見られない。噴煙排出位置も変わらず。 モヤと噴煙の蔭の暗さに加えて窓ガラスの逆光反射で詳しくは見にくい。最も active に白 色噴煙(噴気)を上げるのは従来通り東よりの主火口。但し3個合体のうち、カルデラ中央 寄りではなく中央(2番目)が最も活発に見える。西側の多数の噴出点が並ぶ方からも盛ん に蒸気を上げ、その中では主火口寄りが盛ん。主火口噴石丘の西側斜面のクレパスからも噴 気盛ん。 <カルデラ壁と底> スオウ穴西側のカルデラ壁が大きくえぐれ、崩壊・後退が進んでい る。その壁下から北カルデラ壁下にかけて崖錐堆積物がたまり、以前の「大赤池」は半分く らいになっている。(西半分が健在。)埋った東半分もまだ完全に「陸化」したわけではな く、3箇所に水面を残している。水の色は赤くはなくオード色、崩壊壁面と同色。西側の 「赤池」もその壁面上部の供給物質の色(赤)に対応しており、カルデラ底の水の色は主に 崩落物質の懸濁物に依存しているらしいことがわかる。 「赤池」の西側のカルデラ底の「高まり」は、ほぼ真上から観察すると周壁に平行のリッジ が明瞭であり、崩壊〜崩落物の堆積(荷重+衝撃、垂直・水平両方のベクトルをもつ)によ る押し出しによるものらしい。壁面が実際は垂直でなく曲率をもった斜面であることを考え れば当然か。 カルデラ底南半の火口〜噴気列に近い側は噴気の蔭の暗さとモヤでよくは見えないが、噴気 口付近の水面は以前に較べて減ったように見える。(噴気減少による結露水の減少を意味し ているかも。) <スオウ穴> スオウ穴自体は変化なし。赤い水面も不変。 (大島 治)