11月24日(金) 午前8時57分,東京ヘリポートを離陸.今回の同乗者は山元孝弘氏(地調). 搭乗したヘリは東京消防庁の「ひばり」でした.午前9時44分,三宅島上空に到着, 主に島の東(三池)〜南(坪田)の範囲を繰り返し旋回した.10時24分までの およそ40分間観測を行った後,帰途につく.11時21分,東ヘリに帰還. 今日は(今日も?)三宅島上空に雲がかかっていたため,カルデラ内部を 観察することはできませんでした.そのため,今日は主に噴煙の記載と, 山麓・山腹の観察を行いました. [噴煙] 今日は大きな白いメインの噴煙がカルデラの直上にまっすぐ立ち,その場に とどまっていた.またそのメインの噴煙を取り巻くように,2つの希薄な噴煙が ある高度に広がっていた.メインの噴煙の最大到達高度はおよそ1800mで, 11/22の金子さんの観察結果よりやや高い.噴気活動は連続的で,非常に 活発であった. 島の東(三池)〜北東域(赤場暁のちょっと北)付近をヘリが通過する時, 硫黄臭を感じたことから,噴煙は東〜北東域の広い範囲にブロードに 広がっていたようである. メインの噴煙を取り巻く2つの噴煙のうち,一つはやや紫がかった褐色を呈し, 高度1400〜1600mの位置に滞留していた(手持ちの高度計にて計測).この 色づいた噴煙は高濃度の硫酸ミストから成ると思われる. その理由は,  1:この噴煙内をヘリが通過した際,強烈な硫黄臭を感じた  2:噴煙内を通過しても,ヘリの窓ガラスには何も付着しなかった このような高濃度の硫酸ミストが山頂付近に滞留した原因は,ちょうどこの高度に 大気の密度成層の境界面があったこと,そして風が弱く,ミストがあまり 拡散しなかったためと思われる. メインの噴煙を取り巻くもう一つの噴煙は,やや青みがかった白色を呈する. この噴煙はカルデラリムからすぐ側方に拡がり,あまり上昇しない. 滞留高度は1000m程度と推定される. [カルデラ内部] (今日は観察できず) [山麓および山腹] 坪田から赤場暁付近にかけての状況を,一周道路に沿う形で上空から観察した. 坪田小・中学校および三宅高校の屋上は,”黒色”の新鮮な堆積物で覆われている. おそらく最近の降灰と思われるが,今まで現地調査で観察してきたような ”灰色の火山灰”とは色調が異なり,ちょっと気になる(湿っているせい?). この”黒色の降灰”は,太路池の東から三宅空港南の範囲に分布する. ちなみに,この”黒色の降灰”の存在は,11/18頃に放送されたNHKの「首都圏 ニュース」ですでに確認されている. また,今日は赤場暁に流下した泥流堆積物を観察したが,新しい泥流の存在は 認められなかった. (大野) [訂正とおわび] 11/13日付の大野によるフライトメモの記述で, 「北西側のマウンド(隆起部)と,南側のコーンの間の低地に出来た水たまりだけは 緑色を維持している」 とありますが,撮影した写真を詳細に観察したところ,上述の緑色の水たまりは 存在しないことが判明しました(新鮮な泥流堆積物を水たまりと誤認した). ここにお詫び申し上げます. 大野@日大によるフライト観察結果は,下記のホームページでも公開しています (一部まだ工事中).ご参照いただければ幸いです; http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/quart/Miyake/Miyake.html