平成14年7月04日(木) 三宅島火山噴火調査 観測時間 午前1048−1115 午後1507−1517 コース  午前は火口観測,午後はCOSPEC観測と火口観測.給油と昼食は東ヘリまで戻っておこなう.クルーも交代. 東ヘリ951→恵比寿→丸子橋→横浜→城ケ島西→大島東沖→1048三宅島上空観察1115→1209東ヘリ(給油・昼食) 東ヘリ1345→両国→代々木→城ケ島西→大島東沖→1437 COSPEC観測1503→カルデラ上空観察1517→城ケ島西→横浜 →1612東ヘリ (警視庁 おおぞら2号 JA9678 スーパーピューマ クルー4名 ) 観測者   津久井 雅志  (千葉大)   川辺  禎久  (産総研)   中堀  康弘  (気象庁)   宇平  幸一  (気象庁)  天候:東京 くもり もや   三宅 くもり  午前:大島以南にエコーがあるため,予定を遅らせて9時51分,東京へリポート離陸.東京は濃いもや.飛行高度は陸 上部分で400m以下,洋上では200m前後と低空飛行.大島で雲にぶつかったため高度500mまで上昇て南下.風は弱く, 波も穏やか.  10時48分三宅に接近.風は南西から北東へ向かい弱く吹いている.島の南半の標高400m〜1000mには雲がかかり観察 できず.カルデラ上空,北半はちぎれ雲多数.そこで900〜1150mの高度でカルデラ縁を時計周りに小さく4回(5 回??)まわり,雲間からカルデラ内をのぞく.  白色噴煙は海抜高度1000〜1100mくらいまで上昇.真っ白なので,雲と識別ができる.量は多めだが,上昇に力強さ はない.青白いガスは三池〜北東麓へ流れ下る.空気は澄んでいてカルデラ壁の土砂も(雨によって?)流されていてき れいに見えるのだが,何しろ雲が邪魔.火口温度は150℃のレンジでスケールアウトとのこと.その後,海岸沿いを西→ 南→大路池で旋回→西→北→三ノ宮スコリア採取場まで観察して,11時15分,北へ向かって離脱.12時10分東ヘリ着.  午後:3機の離陸を見送ってから13時45分離陸.都内はやや北よりのコースをとって南下.14時37分三宅島北沖に到 着.風は午前と変わらず南西から弱く吹いている.三宅の北東5マイルを15時03分まで1.5往復COSPEC観測.一瞬臭い を感じたが,その後は感じず.ガスの濃度は目視観察からは分布南端の三池でやや濃く,北側へはだらだら減少していく 印象(写真1,2,3).  その後,南東からカルデラ縁に接近,時計まわりに1050〜1300mの高度で2周観察.白色噴煙は1度やや高く海抜 1400m位まで上がったが,それ以外はだいたい1000〜1100mくらいまで.カルデラ縁の外側で,間もなく消滅.白色噴 煙が“主火口”の南側の火口から主に排出されているのは変わらず(写真4).カルデラ底の水量は多め(写真5,6).  15時17分湯の浜漁港から北へ離脱.16時12分東ヘリ着,エンジンカット. (津久井 雅志) 写真  1. 三池港沖海上から.白色噴煙の(海抜)高度は,ほぼ島の高さの1.5倍弱くらい,およそ1100m前後. SO2ガスは左 (南)が濃く,右(北東)に向かって徐々に薄まるように見えた.雲の高さは500m〜 900m位か.もとの写真がまがって いたので回転させました.失礼. 2. 南東沖からみた噴煙,ガス.白色噴煙はカルデラ縁から離れると間もなく消散.カルデラから溢れたガスが山腹に 広がる. 3. 南東上空から山腹,ガスをみる.三池およびその北へ流れるガスはまだ濃い.白色噴煙は濃い.鉢巻き林道(写真 左側を,曲がりながら上下走る白い道)によりも上,金曽(空港滑走路の北半分の山側)の植生は変色したまま. 4. 火口と噴煙の様子.(これまでと同様に)主火口,北側2つの 火口からの噴煙は少なく,おもに南側火口から噴煙が 排出されている.量は少なくないが,上昇速度は大きくなさそう. 5. スオウ穴上空から見たカルデラ底.西側“黒池”は濃い赤褐色の錆色,北の池は黄土〜緑色(5/30には茶色だった). “マウンド”西側の水たまりもはっきりした. 6. カルデラ東縁上空からカルデラ底,スオウ穴をみる.スオウ穴の西側,東側ともに後退している. 7.  カルデラ東壁.土埃があらわれてよく見える.最上位〜50mはカルデラを埋めた崖錐?と溶岩.画面中央,中位には 当時の地表へでた噴出物とその給源の岩脈がみえる.地獄谷谷頭部(画面左端)はかなり以前から谷地形があったことが わかる. 8. カルデラ東縁上空からスオウ穴,神着方向をみる.山腹中腹以下は植生が緑色であるが,鉢巻き林道より上の回復はま だ. 撮影は,7月4日午後2時40分から3時15分 (津久井雅志)