7月17日(水) 今回の同乗者は中堀さん,飯野さん(以上,気象庁),大久保さん,孫さん(以上, 地震研)の計5名.搭乗したヘリは海上保安庁の「わかわし」.天候は曇り.  この日は午前8時15分の時点で新島で降雨があった他,午前8時30分には三宅島島内 で作業にあたっている気象庁の職員から,山の中腹付近まで雲に被われているという 連絡があった.そのため,火口観測は絶望的であったが,予備日にあたる翌日は更に 天候が悪化する可能性が高いということから,万に一つの望みをかけてフライトが決 行された.午前9時9分,海保羽田基地を離陸.なお,前日に台風が三宅島付近を通過 していたことから,フライトの際には台風による被害状況や泥流発生の有無にも着目 した.  10時10分,三宅中学に着陸.島内観測の大久保さんと孫さんが降りた後,10時16分 に再離陸,ガス観測を開始した.このときの雲底高度はおよそ500m.山頂は全く見え なかったが,青みがかった硫酸ミストが北東方向に流れていく様子が観察できた.当 初予想していたほど天候は悪くなかったものの,天候の回復は期待できないことから, 火口観測は諦め,山腹および山麓の現状を観察した. 山腹・山麓の状況を見た限りでは,強風によると思われる倒木は観察されなかった. また,新たに発生したと考えられる泥流も認められなかった.むしろ,泥流災害に備 えた砂防ダムや遊砂地といった防災・減災施設の充実ぶりに目を見張った. 10時52分,ガス観測および山腹・山麓観察が終了.新島にて給油・休憩後,三宅中学 校に移動,大久保さん,孫さんを載せて12時23分帰途につく.13時20分,羽田基地に 帰還した. (大野希一)