平成14年7月24日(水) 三宅島火山噴火調査 観測時間 13:08−14:34 コース  航空自衛隊百里基地1159→鹿島海上→飯岡沖→1306三宅中ヘリポート1308→三宅島上空観察→ 1434三宅中ヘリポート1436→大島東沖→逗子→横浜→新宿→三郷ジャンクション→1552百里基地 (航空自衛隊救難隊 UH60 08-4573  クルー4名  尾坐原機長) 観測者   津久井 雅志  (千葉大)   下司  信夫  (産総研)   尾台  正信  (気象庁)   福井  敬一  (気象研)   杉浦      (気象庁)   古屋  正人  (東大震研 地上作業) 天候:百里 はれ 三宅 くもり  11時59分百里基地離陸.鹿島で海上に出たが100フィートから1000フィ−トの高さに低い霧,雲がでて視 界悪い.雲間と成田,羽田への飛行機の侵入路をぬって1000〜2000フィートで南下. 13時06分三宅中ヘリ ポート着,古屋さん降機.  三宅上空1000フィートでは北東(44〜50°)の風,26〜39ノット(13〜20m/s).高度300〜350m以上 に雲がかかっているため(写真1,2,3),火口観察を断念.海岸沿いに時計周りに1周と4/5まわって周囲を 観察.火山ガスは新澪から間鼻(錆が浜の南)の地表付近を流れる(写真4).伊ケ谷付近で旋回し,伊ケ谷 〜坪田を高度1000フィートと700フィートで4往復して噴煙を横切りCO2観測を行う.SO2ガスは最高2ppm (1000フィート)とのこと.体感的には,臭いの強弱があるが長時間嗅ぎつづけると少しむせて不快になる レベル.台風9号の影響で風が強く,うねりも高い(4〜5m)(写真5).そのため海岸の崖下,砂礫浜では海 が濁っている(写真6).島の風下側では気流が乱れるため機体はよく揺れる.  最後に,時計周りにもう一周したのち,三宅中ヘリポートに寄って離脱,三浦半島から陸上上空を経て百里 基地に帰投.    これまでも観察されていたように統計的に風下側にあたることの多い新澪から錆が浜の南(および東麓の空 港北側〜赤場暁)の植生の変色は著しい.本日の低空からの観察では,草本はかなりのものが緑色であるが, 木本は葉を落とし枯死したように見えるものが少なくなかった(写真4).  空自救難ヘリ(写真7)は,燃料補助タンクを左右につけているため航続時間が長く,4時間のフライトなど 楽勝であるが,このタンクのため,目の高さより上の視界が大きく妨げられる.下を見下ろす場合は問題ない が,本日のように低空で飛んで,噴煙,雲を見ようとすると絶望的.旋回時のロールを利用するしかない.  天候,飛行条件は良くなかったが,精一杯リクエストに応えてくれたクルーに.感謝.  泥流対策のための砂防ダム等の土木工事箇所がよく見えたので,写真をのせる(写真8〜15). (津久井 雅志) 写真  1. 大路池南方海上から南西麓をみる.白色噴煙と雲の識別は困難.SO2ガスは地形に沿って流れるように見 えた.ただし上空700フィートよりも1000フィートの方が濃度が高かった. 2. 南東沖からみた三宅高校と山頂方向を見る.標高300m以上は雲で何も見えない. 3. 坪田漁港沖から南東〜東山腹をみる. 4. 新澪,薄木方面を見る.火山ガスが流れ下っている. 5. 波にあらわれる三池港埠頭,三宅島空港.大潮とうねりで風上側の港は大変.  6. 崖下の海が濁る伊ケ谷漁港. 7. 搭乗した空自救難ヘリ.燃料補助タンクが大きい. 8. 伊豆.都道と交差する坊田沢の流路改修工事. 9. 神着,川田沢周辺の泥流対策の工事. 10. 土佐の導流堤の工事. 11. 釜の尻沢の流路改修工事. 12. 赤場暁の砂防ダム,都道との交差部分の流路工事. 13. 阿古,コシキ火砕丘南側の砂防工事. 14. 阿古,鉄砲場へ流下する泥流対策のため1983年溶岩流の途中に作成中の砂防ダム. 15. 阿古,榎沢(鉄砲場のすぐ北の沢)に作成中の砂防ダム.