平成14年8月7日(水) 三宅島火山噴火調査 COSPEC観測,海岸沿い観察時間 11時21分−12時53分 コース  陸上自衛隊木更津駐屯地1029→観音崎→大島波浮沖→1115三宅中ヘリポート1121→COSPEC観測・三宅島海 岸沿い上空観察→1253三宅中ヘリポート1255→木更津駐屯地 (陸上自衛隊2H2 CH47 2961  クルー3名  満永機長) 天候: はれ 島の上空はくもり 観測者   津久井   (千葉大)   尾台    (気象庁)   飯野    (気象庁)   大久保   (東大震研 地上作業)  10時29分木更津基地離陸.東京湾,大島東を経て高度500〜600mで南下.視程は>20kmで悪くはないも のの,各島の上空には雲.11時15分三宅中ヘリポート着,大久保先生降機.  西(250〜270°)の風10〜25ノット(5〜13m/s).三宅島の高度350〜1000mあたりに雲がかかってお り(写真1),火口観察を断念.  白色噴煙は雲と区別できないが,雲をつきぬけてはいないようである.したがって,火口上の白色噴煙の高 さは最大でも200〜300mを超えない.火山ガスは三池浜北よりからひょうたん山にかけて地表にそって流れ る(写真2,3,4).サタドー岬あたりがもっとも濃い.最初に火口から5マイルの距離で噴煙(火山ガス) の下を高度100mで2往復する.風下ではSO2の臭いを感じるものの,体感的にはこれまでの中で,中の下程 度.次いで3マイルを片道測定したのち,湯の浜漁港付近までもどる.  今度は海岸沿いに時計周りに高度200〜250mと150mで計2周して島内観察.  次いで噴煙にそって火口から10マイルの距離まで往復.最後に海岸沿いに高度200mで時計周りに三宅中ヘ リポートまで飛び,タッチアンドゴーで,離脱.13時34分帰還. 噴煙 白色噴煙と雲とを識別できないが,火口上の高度は200〜300m未満.火山ガスは東北東へ流れてい る.(本日は風速が小さく,この影響をどう考えたらよいのかよくわからないが,風下に延々と拡散すること なく続いていた昨年に比べて,)ガスの量は減っていると思われる. 植生の状況 東側は,空港北半分〜地獄谷・赤場暁付近,西側は,新澪〜(阿古の南の)釜方・間鼻付近の植 生の損傷が大きく,変色,枯死が目立つ.それ以外の雲の下の標高350〜400m以下の植生はほぼ回復してい るようである(写真5,6,7,8,9,11). 防災対策工事の様子 空港ターミナルビルの山側にある厚木沢でも砂防工事がおこなわれている.2002年5/ 31(大島さん),7/24(津久井),7/31(大島さん)などの報告,写真を参照. 本日は,夏によく見られる気象条件(2001年7月13日,23日など参照)のようで,島だけ曇りの悔しい条件. (津久井 雅志) 写真  1.北方海上から三宅島をみる.白色噴煙と雲の識別は困難.SO2ガスは地形に沿って東へ流れる. 2.北東(ひょうたん山)沖からみた火山ガスを見る.ひょうたん山あたりがガスのの北限にみえる.山頂方 向は雲がかかる. 3.サタドー岬灯台沖から山腹をみる.この方向が最もガスが濃い. 4.三池港沖から山腹を見る.本日は三池港にはガスがかかっていないが,卓越する西風の風下にあり,しか も地形的に低い金曽の下流にあたるため植生が著しく変色,枯死している.左端,雲の下の白い建造物は坪田 無線中継基地(ハチマキ林道沿い標高364m). 5.神着から山頂方向をみる.標高350〜400m以上は雲の中.集落付近の緑は濃い.  6.釜の尻上空から神着をみる. 7.地獄谷谷頭は卓越風の風下にもあたり,また現在カルデラ縁のうち(スオウ穴とならんで)最も低いた め,火山ガスの通り道となり,地獄谷沿いの植生のダメージは大きい.右下,下馬野尾の植生はかなり回復し た. 8.阿古南方若宮神社のあるスコリア丘は北東風の風下にあり,また釜根マールの低所に沿って流れ下ったガ スが突き当たるため植生のダメージが大きい.それに対し阿古の集落の緑はずっと多い. 9.三池浜奥の泥流対策の工事.植生の損傷が最も著しいところ. 10.村役場の背後の砂防工事. 11.空港ターミナルビルの工事.その山側の砂防工事も始まった.この付近は植生の変色,枯死の多い北(右 上)とそれほどでもない南(左)の境界になっている. 以下おまけ.各島にかかる雲 12.大島にかかる雲. 13.利島にかかる雲. 14.新島(右〜中央),神津島(左奥)にかかる雲.