平成15年3月18日(火) 観測時間 11時05分 〜 12時35分 搭乗時間  10時20分 〜 13時20分 海上自衛隊館山基地1036→大島東沖→1105三宅島湯の浜漁港→火口観察1122→COSPEC観測1235→1320館山基地 (海上自衛隊 S-61A クル−4名 稲垣機長)  観測者 津久井(千葉大),飯野・高橋 (気象庁) 天候:曇り コース ブリーフィング時に三宅島の気象状況が伝えられる. 北東の風10ノット(〜5m/s),雲底高度が2000フィー ト(〜600m)と低いため火口観察ができない可能性もあるとのこと.10時36分,館山基地離陸.ヘリコプ ター機体は南極で使用されたもの.人員・物資の輸送用に中は広い.20人以上乗れそう.右側前方に球状出 窓,右後方に搬入用ドア(CSSPEC時使用). 離陸後,高度600mで南下.三宅島に近づくと,山頂も見える(写真1).雲底は海抜900〜1000m,白色噴 煙は南西へ.11時5分湯の浜漁港から進入し,時計回りにスオウ穴付近からカルデラに接近.1535年火口付 近を過ぎてから反転し,反時計周りに北〜西へ,西山腹で旋回してカルデラ縁沿いに北→東→南→東→北をも う一往復して西海上に抜ける. COSPEC機材設定,調整後,火口から5マイル,海上100mを西→南→東→北東を1往復,最後に,海岸沿いに 反時計回りに一周して,12時35分に阿古上空で観測終了.13時13分館山基地着陸,20分停止. ◯ 噴煙の様子 海抜900〜1000m以上には雲がかかる.白色噴煙(噴気)は雲の中まで上昇するため高度は 不明(写真1,2).主火口の南側火口,北側火口のいずれからも噴気(とガス)が出ている(北からのほうはす ぐに消散).噴気の量は少なくないが力強さはない(写真3).SO2ガスはレストハウス〜薄木方面へはい降 りているのが目視でき,薄木沖で臭った.COSPEC観測では南方に広く拡散しているとのこと. ○ カルデラ壁,カルデラ底 良く見える(写真3〜8).ただし,雲のためと窓越しのため光量不足(贅沢な 注文だが).火口の西側のカルデラ底近くの厚い溶岩がこれまでになく顕著(写真3〜5).水溜りは3月4日の 金子さんの報告とほとんど変わっていないように見える. ○ 作業用の車両の往来が活発であった.沢をまたぐ本橋の工事が(仮設橋の隣で)進められている.治水, 砂防用の堰堤工事はかなり完成しているようであった. 写真1 北海上からみた三宅島,低い雲はあるものの山頂部はみえる. 写真2 薄木〜龍根浜の南方海上から島をみる.ガスはか拡散しながら手前に流れる.正面に1983年溶岩流 が黒く見える. 写真3 火口の様子.噴気の量は少なくないが力強さはない.火砕丘の割れ目から出る噴気は少ない.そのた め,火口西側のカルデラ底近くの厚い溶岩がこれまでになく顕著. 写真4 南西のカルデラ壁とカルデラ底西よりにある水溜り(メ黒池モ).ここに転がりこむ堆積物は何回かの崩落 に対応するのか,色と構成岩塊のサイズの違うローブがあるようだ. 写真5 南西のカルデラ壁.最下位に白く見える溶岩が厚く,目立つ. 写真6 西のカルデラ壁. 写真7 北東のカルデラ壁とカルデラ底. 写真8 北からカルデラ底を見る.スオウ穴付近からの崩落物は画面左から流れ込んできている. 写真9 海上自衛隊 S-61Aヘリコプター.