2003年4月9日(水) 観測ヘリコプター:東京消防庁 かもめ JA9692 観測者:吉本(地震研),小栗(産総研),舟崎,宮下(気象庁) 観測時間:10時53分 〜 11時20分(火口観測), 搭乗時間:09時53分 〜 11時55分 天候:快晴,西北西の風 17m/s, 9:53 消防庁立川防災施設離陸.吉本(地震研),小栗(産総研),舟崎,宮下(気象庁),孫氏(地震研, 重力班). 10:50 三宅空港着陸,孫氏降機,すぐに離陸 10:53 火口観測開始 噴煙の様子:噴煙の色は白色,量は少ない.強風のため噴煙は上昇できず,カルデラ内を滞留し,溢れたもの が風下にたなびいている.噴煙の高度はカルデラリムの上50〜100m(写真1).風が強くガスは東北東(三 宅空港)の方向に流れていた.三宅空港着陸時にガス臭を感じた. カルデラ・火口の状況:カルデラ内は噴煙とガスが滞留しているため,霞んでいて主火口の様子はよくわから なかった.噴煙は主に主火口からでている.白色噴煙の量は前回のフライト(2/19)と同じぐらいであっ た.火口の状況に特に変化はなかった.火口底及びカルデラ壁は大島氏のフライト(3/26)の報告にあった ように,スオウ穴西側に突き出していた変質した岩体が崩落していたのを確認した(写真2,3).崩落堆積 物は火口底中央部に堆積し,西側の池と中央の池の半分が埋積された.堆積物は先端でローブ状の地形を形成 し,表面は起伏に富み,小規模ながら流れ山地形に似た地形を示しているように思われる(写真 4,5,6,7).今回崩落した部分の上部も複数の亀裂が入っているため、スオウ穴西側はいずれ崩壊すると 考えられる(写真8).気象庁の赤外カメラによる火口の温度は,カルデラ内が霞んでいるため低めの165度 であった. 11:20 火口観測終了 11:41 新島着陸・給油・昼食 13:02 コスペック班 新島離陸. 火口観測班は新島待機 14:43 新島着陸 15:29 新島離陸 16:18 立川防災施設着陸 (吉本充宏) (写真) 写真1:南側から見た三宅島.風が強く噴煙は上昇できない. 写真2:スオウ穴西側のカルデラ壁をカルデラ壁南西側から見る.大島さんの報告にあったように3月20日以 前まで存在していた突き出した変質した岩体が無くなっている. 写真3:スオウ穴西側のカルデラ壁をスオウ穴東側から見る.突出していた変質した岩体が無くなっている. 写真4:崩落堆積物.西池と中池の半分が埋積されている。堆積物のローブも確認できる。東池は写っていな い。 写真5:崩落堆積物.西側の池と中央の池の半分が埋積されている。右端の池が東側の池。 写真6:崩落堆積物のクローズアップ.先端にはローブ状の地形が確認できる.表面は凹凸が激しく,小規模 な流れ山が確認できる. 写真7:崩落堆積物のクローズアップ2. 写真8:崩壊した斜面の上部.複数のクラックが確認できる.いずれここも崩壊するかもしれない.