7月29日(火) 今回の同乗者は川辺さん(産総研),中堀さん,飯野さん(以上,気象庁)の4名. 搭乗したヘリは海上自衛隊の「わかわし」.天候は曇り時々雨. [行程] 午前9時30分に海上自衛隊羽田基地に集合.南岸にあるエコーが島の上空を抜ける のを待つ.予定より3時間ほど遅れた13時13分に羽田基地を離陸.三宅島に向かう. 13時50分,三宅島が見えたが,山頂には雲がかかっており,火口観測は不可能. 14時08分から15時10分までの62分,ガス観測の合間をぬって,ガスの流下方向や 山麓・山腹の状況を観察した. ガス観測終了後の15時10分に帰途につく.16時15分,海上保安庁羽田基地に帰還 した.長時間丁寧なフライトを遂行して頂いたクルーの皆様に篤く御礼申し上げ ます. [積雲とガス] 島特有の”島曇り”により,山頂付近にのみ厚い雲がかかっていた.その雲を突き 抜けるように,山頂付近から白い積雲がほぼ垂直にわき上がっていた.わき上がる 積雲の到達高度は約1500mで,上昇する勢いが無くなった後,卓越風に従って北〜 北北東の方向に流された.この白い積雲の下から,硫酸ミストが北〜北北東の方向 に流下する様子が観察された(写真1).積雲とガスの流下方向は一致.ガス観測 の際,ミストの中をヘリが通過した時に硫黄臭を感じた. [山腹および山麓] 梅雨時に発生が予想される泥流,土石流の有無に注目して観察を行った.島内に造 られた砂防ダムや遊砂地には土砂はほとんどたまっていないことから,規模の大き な泥流や土石流は,今年の梅雨時には発生しなかったらしい.ただし,地獄谷に造 られた砂防ダムには,流路に若干の堆砂が認められた. (大野希一) [写真の説明] ※撮影時刻は誤差1秒以内です. 写真1 北北東から遠望した三宅島.硫酸ミストが北〜北北東の範囲に流下する.14 時03分27秒撮影.