平成15年10月21日(火) 観測時間 10時41分 〜 11時10分 搭乗時間   9時40分 〜 14時30分 立川防災施設954→鎌倉→1041三宅上空観察1110→1123新島空港(給油・昼食)1238→COSPEC観測1325→大島東沖−横須賀VOR→1419立川防災施設 (東京消防庁 ちどり JA119A  クル−4名 毛利機長) 観測者 津久井(千葉大),中堀・本田(気象庁) 天候:曇り コース  9時54分,立川防災離陸.曇りのち雨の予報.東京,神奈川上空400〜500mはもやであまり視程が良くな いが,それより上の視程は30km以上,富士山が見える.10時40分すぎ三宅上空へ達する.曇ってはいるが, 雲底は1000〜1100mくらいはありそうで火口,カルデラ観測は可能.噴煙は火口上まで上昇した後,南西〜 西へ.ヘリは高度800〜900mをスオウ穴からカルデラ縁沿いに5周してカルデラ内を観察. 11時10分観測 終了.新島空港11時23分着.給油と昼食後12時38分離陸.COSPEC観測をおこなう.火口から5マイルの 距離を阿古沖から大路池沖まで弧状に横切って1往復した後,伊ヶ谷沖から南下し1往復観測.13時25終 了.天候は持ちこたえ雨は降らずに完了した. ◯ 噴煙,火山ガスの様子 白色噴煙は火口上100〜200mまで(一旦カルデラ壁からはなれるように北東よ りに)上昇した後,南西〜西にあたる村営牧場→阿古方面へ流れる.火山ガスも西方向へ流れ,村営牧場通 過時,5マイル沖コスペック観測時ににおいを感じた.うっすらと視認できる(写真1,写真2). ○ 火口の様子 主火口からの白色噴煙の量は前回観測の9月30日(吉本さん報告)よりも明らかに多い(写 真3).9月16日(大野さん報告)と同程度.直近の降雨量は10月14日(火)に192.5mm,15日(水)15mm が目に付く程度.火口の温度は190℃とのこと,水蒸気が多いため低めの値を示しているらしい. ○ カルデラ壁,カルデラ底   カルデラ壁,底を観察できた(写真4〜7).前回,津久井が観察できた2003年5月27日と半年間隔をあけ た今回との比較では,カルデラ西壁に突出した部分付近からの崩落堆積物による崖錐が発達している(写真 7-1 2003年10月21日,写真7-2 2003年5月27日)以外大きくは変化していないようである.  旧登山道西側,カルデラ縁から約30mのところに亀裂が見える.5月にもあったのだが,いずれここを使 って崩落する可能性大と思われる(写真8). 写真1 北海上からみた三宅島と噴煙の様子.噴煙は南西から西へ流れる.火山ガスはわずかに見える. 写真2 西海上,阿古沖5マイルからみた噴煙の様子.噴煙は阿古から間鼻方面へ流れる. 写真3 主火口の様子.白色噴煙は多め. 写真4 カルデラ南西壁の様子. 写真5 東からみたカルデラ北西壁の様子. 画面左よりの突出部が崩落を続け,崖錐が発達している. 写真6-1 カルデラ北東壁の様子.5月に比べて,左よりの崖錐の表面は黒色スコリア(地表近くの層準)の 崩落で黒く見える.中央右の崖錐が2次的に削られて水溜まり近くに扇状地をつくっている. 写真6-2 カルデラ北東壁の様子(2003年5月27日). 写真7-1 南東からみたカルデラ底の様子.突出部の崩落による崖錐の発達が目についた(白線部). 写真7-2 2003年5月27日のカルデラ底の様子.5月24日の崩落(岩なだれ)の堆積物がまだ新鮮.産総 研川辺さんの報告も参照されたい.(http://staff.aist.go.jp/y-kawanabe/miyake/2003/0527/0527.html) この崩落の日付は,5/1川辺さんフライト時にはなかったこと,後日気象庁中堀さんが,空振を伴う崩落波形 を確認したことで決定した. 写真8 旧登山道付近の様子.カルデラ縁のほか,矢印のところに亀裂がみられる.少なくとも5月にはあ った.