三宅島火山噴火調査 観測日時等 平成15年12月24日(水) 観測時間 11時10分−11時25分 搭乗時間   9時50分−12時55分                 羽田基地1008→1024横須賀VOR→1042大島波浮沖(自動車運搬船火災跡写真撮影)1052→1110三 宅上空観察1125→COSPEC観測1150→三宅空域離脱1155→大島東沖→横浜→1250羽田 (海上保安庁 わかたか JA6685(AS332 スーパーピューマ)クル−5名(さかまき機長)+飯野・宮下・ 津久井+(保安庁課長補佐1名) 観測者氏名 津久井(千葉大),飯野・宮下(気象庁)    天候状態 はれ 飛行経路 本年納めのフライト.大型機(AS332 スーパーピューマ)で10時08分,羽田航空基地離陸.東京は 快晴,視程良好.富士山が見える.南下とともに,もやが増す.途中,大島波浮沖で自動車運搬船火災跡の 写真撮影を行なう.デッキ上部のみが残り船の原型はとどめていない(写真8,9.2002年11月26日の フライトが,東ヘリで準備中にこの火災対応のため直前にキャンセルされたことを思い出す).大島以南は, 西風が強くなり,白波がたつ.  三宅島は標高1200〜1300m以上に一部雲がかかる.この雲の下でカルデラ観察.11時20分には西風 35ノット(〜18m/s).COSPEC5マイル観測2本目の途中で,ヘリ機材の不調の兆候が出たため,観測中 断.大事をとって離脱,羽田へ引き返し,12時50分帰投. 観測結果 ○噴煙 白色噴煙は海抜1000m程度の高さまで西風に流されながら上昇.カルデラの外にでると間もな く消散する(写真1).青白ガスは肉眼ではほとんど見えない.しかし,東側5マイル沖でCOSPEC観測時 にSO2臭を感じた.1回のみの測定であるが,6400トン/dayとのこと. ○火口 白色噴煙の量は少なくない.排出の力強さはない(写真2).噴煙の量は12月2日の金子さん の報告よりは多く,12月16日の川辺さんの報告と同じくらいか.火口の温度は156℃(飯野さん測定). 噴煙が多く,また強い風のためカルデラの中にこもり気味のため低い値のようである. ○カルデラ壁 東から北西のカルデラ壁の写真を載せる(写真3〜5).スオウ穴およびその東の壁の崩落 が進んでいるように見える(写真4). ○カルデラ底 水たまりの水位は12月2日よりも低下している.崖錐が若干広がり,水溜まりの形がや や変わったように見える(写真3,4). ○カルデラ縁の割れ目 変化はないようである(写真7). 写真 1 南東沖から見た三宅島.海抜1200〜1300mに雲がかかる.噴煙は火口上空まで上昇後まもなく 消散. 写真 2 スオウ穴上空から見た火口のようす.噴煙のため火口,カルデラ底は見にくい. 写真 3 カルデラ東壁の様子. 写真 4 カルデラ北東壁の様子.スオウ穴およびその東の壁の崩落が進んでいるように見える. 写真 5 カルデラ北壁の様子. 写真 6 北西から見たカルデラ底の様子.“マウンド“と主火口の間の水溜まりの水位が下がり,底が見えている.左奥の水溜まりは崖錐でやや形が変わった(奥=東が小さくなった). 写真 7 旧登山林道西側の割れ目 写真 8 大島波浮沖の火災を起こした座礁船の跡. 写真 9 写真7の近接画像.