三宅島ヘリ観測報告 報告:嶋野(東大地震研) 日時:2004年2月3日(火)くもり 風:西25-30ノット(現地) 発着:立川駐屯地(陸上自衛隊) 搭乗機:UH-60JA(43108)搭乗員(3名) 同行:宮下,飯野(気象庁)(以上敬称略) [行程] 09:58 立川駐屯地離陸 天気くもり 10:16 葉山上空(これより海上.視界悪くないが,やや靄がかかっている) 10:37 三宅島視界に入る(ほとんど雲はかかっていない) 白煙少量放出 10:47 北沖より接近し,高度約4000ftで火口から1マイル付近を南下(反時計回り). 旧山頂駐車場付近で反転,時計回りにスオウ穴付近まで. 旋回後反時計回りでカルデラ西まで. 最後に3000ftに落として時計回りに. カルデラ東まで. 11:04 火口観測終了. 11:09 北沖からコスペック観測時計回り (火口より5マイルアーク状飛行,高度300フィート,飛行速度75ノット) 11:23 南沖で左回り(風向300°,風速25ノット) 11:35 旋回し右回り. 11:42 左回り.火口から100°の方向が最もガス臭する(臭うのは80-120°). 11:48 右回り(火口より3マイルでアーク状飛行). 11:51 火口から150°付近で反転,左回り(風向300°風速20-28ノット) 11:58 三宅上空離脱 12:31 葉山上空より上陸 12:50 立川駐屯地着陸. 13:00過ぎ 解散. [観察結果] 火口内部観測は15分程度だった.また,観測中の大半は濃白色の噴気がカルデラ の南側を覆っていたため,火口内南側は観察しにくかった.観測した範囲では,地 形,現象等の顕著な変化は認められなかった. 白色噴煙(噴気)は水蒸気が主体と考えられ,かつては日射光当たると赤く色づい て見えたが,それもほとんど認められなかった.このような白煙がカルデラ内の南 側を常に覆っていた.しかし,ほとんどの水蒸気は噴煙がほぼカルデラ縁に達した 段階で消滅してしまい,カルデラ外にはほとんど出ていない(Fig. 1). 火山ガス特有の青白い流れがほとんど見られず,流下方向を予測することは肉眼で はほとんどできない.しかし,火山ガスは東〜東南東方向に流れており(Fig. 2), この方角ではかなりガス臭がした.また,カルデラ内に滞留しているガスに関して は青白色を呈していることがわかる. 山頂火口は主火口中心部で最も活発に白色噴煙を出していた(Fig. 3).その周辺で も絶え間なく噴気がでている様子であったが,ガス,水蒸気の放出量は遙かに主火 口の方が多い.水蒸気量が多かったためか,赤外カメラでは高々100℃程度(気象庁). カルデラ底部には緑白色〜赤茶色の池が多数認められた.火口に近いほど緑白色帯 びた色をしている(Fig. 4).北北西側のマウンドの輪郭は大きさは以前と変わらず, 以前と同様に輪郭が比較的明瞭であった.1/20(津久井氏Fig9)の写真と比較する限 り,カルデラ壁(旧登山林道西側の割れ目)の崩壊も進んでいない(Fig. 5).