9月30日(土) 大野 午前9時に陸自のヘリにて厚木基地を離陸.本日の同乗者は 金子克哉氏(地調).今回乗ったヘリは,後ろが”ガバァッ”と空く やつです. 40分のフライトの後,9時40分に三宅島上空に到達し,観測を始めました. まず,遠望で島を観測,噴煙の高度や流れていく方向を目視観測しました. しかし,折からの視程の悪さ(15km未満)に加え,噴煙に伴う上昇気流によって 発生したと思われる積乱雲が山頂の上空を取り巻いていたため,噴煙そのものの 到達高度を求めるには到りませんでした. 山頂上空に立ち上る噴煙+積乱雲の最大到達高度はおよそ9000 ft(〜3000 m), また噴煙+積乱雲の基底部の高度はおよそ3000 ft(〜1000 m)でした. 噴煙は北東方向に流れていました.これまで何度か確認された青みがかった 硫酸のミストは特に観察されませんでしたが,噴煙に近づくとやや強い硫黄臭を 感じました.ちなみに,硫黄臭は伊豆大島を通過した時にも感じました. 気象庁によれば,この日の硫黄放出量も1万トン/dayに達する勢いだそうで, 大量の硫黄放出はなおも継続しています. 遠望観測の後,高度を2500 ft(〜山頂の標高)まで下げ,カルデラ内部の 地形観測を試みました.島の南西〜南からカルデラの西側リムをかすめるように 3回飛び,カルデラ内部を観察しました. カルデラ内部の観察結果は以下の通りです; ・火砕丘からは火山灰混じりの噴煙が絶えず上昇している.噴煙の色は白〜白灰  だが,時に青みがかった硫酸混じりの煙がまだらに混ざる. ・噴気は火砕丘とその周辺域にのみ認められる. ・カルデラ内部には,大小さまざまなサイズの水たまりがいくつも認められる.  カルデラ北縁にはもちろん,カルデラ南縁の火砕丘のすぐ北側にも水たまりが  できている.これら水たまりの色は普通の陸水色. ・火砕丘から新鮮な泥流が北方向に何本か流下しているようにみえる. ・カルデラのサイズや深さはほとんど変化していない. 山麓周辺の観察結果は以下の通りです; ・カルデラの南側〜村営牧場方面には,8/29火砕流(?)によると思われる  倒木域が認められる.倒木はカルデラから外を向くように系統的に配列している.  この倒木域の詳細な分布範囲は不明. ・三池〜伊ヶ谷地区にわたる島の南半分には,太路池や貯水池などの陸水に変色は  認められない.しかし,伊豆〜神着にわたる島の北側では,貯水池はもちろん,  砂防ダムにたまった水でさえも赤褐色に変色している.水の色はぱっと見で  鉄錆色.スオウ孔でみられる,ムカデの腹のような毒々しい赤色ではない. ・島の北〜北北東域に降灰が認められる.最近降下したものらしい. ・島の一周道路が,太路池の南側で2箇所崩壊している. ・島の北東域は噴煙の分布軸に当たるため,今回は観察しなかった. 10時20分まで観測を続け,その後厚木基地まで戻りました.