過去の研究



○走査型地震検出法

大量の地震波形データから地震を検出する新しい方法.2000年に開発したが, 当時の計算機リソースでは並列計算機を使わないと十分な速度で検出できなかった. 基本的な考え方はGRiD MTと似ている.

○制御震源を用いた地殻不均質構造の推定

大学院に進学してからずっと取り組んでいるテーマです. ダイナマイトやバイブレータを 用いて人工的に(小さな)地震を発生させ, それを観測領域内に稠密に配置した地震計で捉 えることで, 地殻構造を明らかにしようとしています.
地殻には断層があったり水やマグマのような物質が含まれていたりしており, こういった ものを総称して不均質な構造と呼びます. そして, 不均質な構造と地震の発生との関連が あるのではないか, と考えられています. つまり, 地殻の不均質な構造を明らかにするこ とによって, 地震の発生場を理解する助けになります.
●2000年鳥取県西部地震の余震を用いた地殻のイメージング

 2000年10月6日に鳥取県西部を震源とするM(JMA) 7.3の地震が発生した. この地震はM6クラスの地殻浅部地震であるが地表に明瞭な震源断層は現れなかった. 内陸地震の発生機構を解明するには地殻の不均質構造を詳細に知ることが不可欠である. そこで,この地域の震源断層付近の地殻不均質構造を明らかにするために,様々な制御震源を用いた 地殻構造探査が行われた.これにより震源域の大局的な構造は明らかになったが,詳細な構造については 良くわかっていない.そこで本研究では,新たに開発してきた「自然地震反射法」を用いて 従来の制御震源地震探査では得られなかった地殻のイメージを得ることを目的とした.
 従来の制御震源を用いた共通反射点重合法(CMP法)では,地表に震源と観測点を アレイ状に並べ,それらの共通中点で反射する波をNMO補正して重合し地下のイメージを得ている. しかし,自然地震の場合は震源が地下深くにあるので,反射点は震源と観測点の中点にはない. 「自然地震反射法」では,地下震源と地表観測点の組み合わせによる共通反射点(CRP)の位置を 求め,CRPで反射する波を重合しイメージを得る.また,制御震源の位置と震源時は既知であるが, 自然地震のそれは推定値であり誤差を含む.そこで,観測点アレイ近傍の地震を用いて観測点補正値, 震源,一次元速度構造を求め,解析に使用した.
 反射法地殻構造探査で用いる多チャンネル地震計アレイを使った余震観測を行った. このアレイ観測では,一般的な余震観測に比べてきわめて高密度に地震研を展開することが可能である. 観測測線は,断層にほぼ平行な鳥取県西伯町早田から日南町中津合に至る国道180号沿いとそれに ほぼ直交する道路沿い(日南町吉鑪まで)に設定した.総測線長は12kmで,オンライン受振点を50m間隔で 展開した.サンプリング周波数は250Hzで,64秒の連続記録を約90秒のサイクルで収録するという 準連続観測を行った.観測期間は,2000年10月21日17時から10月25日9時までの85時間であった. 千葉・他(2003)により求められた震源時刻に従って準連続波形データを切り出し,296個の地震波形記録を 得た.得られた波形を目視でチェックし,良好な記録の得られた81個の地震について 「自然地震反射法」を適用し,解析を行った.
 解析の結果得られた反射面の分布と余震分布などを比較したところ,以下のような特徴が得られた.
  1)深さ5-9 kmには反射面が多く見られ,余震が3次元的に分布しており,不均質性が大きい.
  2)深さ9-14 kmには反射面が少なく,余震は面的に分布しており,比較的均質である.
  3)深さ14 km以深には反射面が多く見られるが,余震は分布せず,不均質性は大きい.
  4)上部地殻に脆性破壊しない領域のあることが示唆された.

○伊豆諸島プロジェクト

詳しくはこちら を御覧下さい。なお、都合により地震研内部のみの公開です。