固体地球力学II(学部・院 共通講義)2000年11月2日講義分 


(1)Single Layer (不連続性)

Question

Answer

ne = n = -ni?としているが,これでよいのか?(F)

講義で考えた,面積DS,厚さ2eの小領域には6つの面(上面1,底面1,

側面4)がある.面積DSをある程度小さくすれば,上面の法線ベクトルne と底面の法線ベクトルniは逆向きになる.


(2)Double Layer 

Question

Answer

mの膜と-mの膜がくっついたのがDouble Layerか?(F)

そう考えて良い.ただし,面上でm,-mは一定値とは限らず,変化しても良い.


(3)デルタ関数

Question

Answer

2(1/r)= - 4 p d (x,y,z)はどうやって求める?

(S, F,Y)

性質1)原点以外では左辺=0は容易に確かめられる.

性質2)原点は特異点なので通常の微分はできない.この場合にもガウスの発散定理が成り立つことを要請してみよう.つまり,左辺を半径aの球内で積分してみる.発散定理から

∫∫∫∇2(1/r) dv = ∫∫(∂/∂r)(1/r) r2sin q dq dl= -4 p

 この式は,半径aの取り方によらず,なりたつ.

性質1)2)から,デルタ関数ということがいえる.

(4)ベクトル解析

Question

Answer

gradって微分してスカラーをベクトルに変える感じのものですか?またdivってベクトルを微分してスカラーにする感じですか? (S)

そういう「感じ」です.幾何学的には次のとおり.

1) grad V: V= 一定の面(多数ある)をイメージしよう(等ポテンシャル面).その面に直交する向き(法線方向)の微分係数.

2) div v:  点(x,y,z)にサイズDx,Dy, Dzの小領域を考える.ベクトルvを水の流速ベクトルだとイメージして,六つの面をとおしての流出・流入量の差(実質的な増減)を勘定すると,div v (DxDyDz)がえられる.div vは単位体積当たりの流出・流入量の差(=発散量)と考えられる.

 U∇2V=(∇2V)U や U grad V = (grad V) Uは

なりたつか? (S)

なりたつ.


(5)宿題・小テスト・雑感

Question

Answer

東大では測地学はどの程度,研究されていますか?

日本の大学では測地学はそれほど扱われず,むしろ省庁の方が盛んで,また,ヨーロッパの大学では結構,盛んだと聞いたことがあるのですが...(F)

 

東大では,地震研(大久保).京都大学では地球物理学教室に1講座あるのみ.日本の大学では,マイノリティである.省庁では国土地理院が本業として行っている.ヨーロッパでは歴史的経緯(軍事目的,国境画定目的...)から,測量・測地が盛んだが,学部として工学部・測地学科となっている.ドイツに留学しているとき,一般の人と話をしても「私は地震を研究している」といってもポカンとしていたが,「測地学」というと「ああ,それなら知ってる」という顔を何度もされた.米国では宇宙開発で有名なJPL(ジェット推進研),NASAがダントツ.重力ポテンシャルをきちんと決めたり,地球の回転軸の向きがわからないと,宇宙船の軌道管制ができない.

どうして電磁気と重力の式は似てるんでしょう?

かなり深遠な問.物理学の力の大統一理論が完成・検証されれば,解明できる?

測地学のような学問は,あまり人気がでないし,おもしろくないのでは,ありませんか?

今,ポピュラーじゃないということは,その分野での競争が少ないので,すぐに世界一になれる!? 今,ポピュラーな分野に進むと,自分が第一線に出る頃(10-20年後)には,その分野は斜陽産業?下の表で花形が何年間,栄光を保ち得たか考えてみるのも面白い. 昔,人気のなかった「微生物」「農学」系がバイオ関連で日が当たりはじめていることを考えると,20年前にその分野に進んでいれば...

かつての花形

1950年代

造船学

1960年代

化学工学

1970年代

電気・機械

1980年代

金融(バブル)

1990年代

バイオ,IT

2000年代

???