グローバル地球電磁気
歌田久司(教授,T33)・清水久芳(助手,T42)・市來雅啓(特別研究員,T31) 小河勉(D3,T41)・小山崇夫(D3,T31)・浅利晴紀(M1,T31)

図 我々やアメリカの研究者により電位差観測が行われている海底ケーブル(太線)と海半球磁場観測点(▲設置すみ 計画中)


私たちの主な研究テーマは,以下の4つです

(1)海底ケーブルによる地球スケールの電位差観測と地球深部の研究

近年国際通信は,次々と光ファイバー化されています.用済みになった従来の同軸海底 ケーブルを用いて,何千kmも離れた地点間の電位差を測定しています(図参照).得ら れたデータには,様々な情報が含まれています.この中でも特に,マントルの電気伝導 度構造の解明と,直接観測が不可能な,流体核表面のトロイダル磁場変動の検出を目標 としています.海底ケーブルによる電位差観測は,われわれのグループの売り物で,従 来,地磁気のデータのみを用いて行われてきた研究に,新しい視点をもたらすことがで きるのではないかと考えています.

(2)海洋島と太平洋周辺域における地磁気観測

地磁気解析による地球深部の研究は,これまでは世界各地にある地磁気観測所の磁場デ ータを用いて行われてきました.しかし,太平洋域(海半球域)では観測所が極めて少 なく,グローバルな磁場の理解には大きな問題になります.そこで,海洋島や太平洋周 辺域に信頼性の高い,連続観測が行える磁力計を開発し,観測点の増強をはかることに しました.既に5点で観測を開始し,今後10点程度まで観測点を増やす予定です(図 参照).新たに取られたデータにより,海半球における地磁気変化の空間分布が格段に 向上されることが期待されています.

(3)海底地磁気長期観測

海半球をカバーするためには,海洋島における観測だけでは不十分な地域があります. そのようなところでは,海底に測定器を設置して長期間観測を行う必要があります.こ のための観測機器の開発と,実際の観測を行っています.

(4)海底電磁気アレイ観測

海底下の地下構造を調べるための標準的な観測手法として,海底電磁気計のアレイ観測 があります.これまでに,東太平洋中央海膨とフィリピン海の観測を,国際的なプロジ ェクトとして行いました.

このほかにも

電気伝導度構造を正しく求めるための理論(歌田),地球磁場を生成している流体核の ダイナミクス(清水),電気伝導度構造を用いた地域的なテクトニクス(市來),地震 発生に伴う電磁気現象の理論(小河),複雑な電気伝導度を持つ地球の電磁感応(小山), ウェーブレットによる地球磁場変動解析(浅利)等の研究を行っています.


E-Mail: shimizu@eri.u-tokyo.ac.jp