Arash Jafargandom | |
下田 直之 | 立命館大学理工学研究科 |
森下 健 | 立命館大学 理工学部4回生 |
竹内宏之 | 立命館大学 |
竹内淳一 | 立命館大学理工学研究科 |
中迎 | 大阪市立大学 |
中村武史 | 九州大学 |
内田浩二 | 九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻 |
朴舜千 | 京都大学防災研究所 |
林田拓己 | 広島大学理学部地球惑星システム学科 |
澤崎郁 | 東北大学理学部 4年 |
市原 寛 | 愛媛大学大学院理工学研究科 博士前期課程2年 |
田原道崇 | 九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻 |
豊国 源知 | 九州大学理学府地球惑星科学専攻修士課程一年 |
山本 容維 | 九州大学理学府地球惑星科学専攻修士課程一年 |
The Memorial Symposium of professor Kikuchi that I attended to, was very useful especially to know most recent developments in seismology by Japanese scientists. The wide variety of presented subjects was interesting and also some of the researches were very novel. As most of the subjects were presented by young scientist and if the memorial continues for next years, it can be a good chance for young scientist and students to know new developments and creativities in seismology. Beside these, presence of some scientists with younger ones can be a good point of this symposium to share their own experience together and probably doing some new research in groups. Basically memorial of former scientist that they spent their life in the way of knowledge can show our deep respect to knowledge and scientist that, these make our life more glorious. I greatly appreciate accepting my travel support by secretary of this symposium to attend to this glorious Memorial Symposium of professor Kikuchi which I could get a lot of new Ideas and scientific comments throw it. |
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菊地正幸教授記念シンポジウム に参加して 立命館大学理工学研究科 下田 直之 |
記念シンポジウムでは多くの先生方の講演があり大変勉強になりました.私にとって菊地先生はリアルタイム地震学の著者であり,インバージョンを用いて震源過程・地震のメカニズムを解析している先生という認識でしか恥ずかしながらありませんでした.しかし翠川・武村先生のお話で,菊地先生が如何に地震学に貢献されたかがよくわかりました.横浜市における高密度観測網構築や,詳細なハザードマップ作成,EICノート作成・蓄積など今日の防災・地震学の礎となる多くの研究をなされていたことがわかりました. 特に日々の努力の蓄積の最たるものとしてEICノートを再確認しました.EICノートによってアスペリティ位置が特定され現在の強震動予測に用いられている等を考えると,「論文にならない仕事」の大切さを感じます.いま私は南アフリカ金鉱山におけるデータを用いて研究をしているのですが,鉱山のデータに関してもEICノートのような各イベントの詳細な資料を積み重ねていくことで見えてくることが沢山あるはずです.しかし,現在は収録されたデータのうち数えられるほどのデータしか解析できていません.菊地先生とEICノートの貢献を考えると, 今後の課題として取り組まなくてはならない仕事の一つであることは確かだと思いました.情報発信という観点でも見習わなくてはならないことがたくさんありました.林先生のお話にあったナウキャストは非常に興味を惹かれましたし,必要な情報をわかりやすい形でという考えは当たり前だが実行は難しいことであると再認識しました.南アフリカデータではリアルタイムでの情報発信は日本社会において意味は薄いですが,準リアルタイムでの情報発信するためのシステム作りや,月ごとなど時期を切ってのレポートをまとめて公開することの意義を認識できました. ―次世代の地震学に期待すること―ということでのシンポジウムは自分の研究を見直すきっかけとなり,また各分野の解析手法や工夫を学ぶことができ勉強になりました.今後の研究生活に活かしていきたいと思います. |
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菊地正幸教授記念シンポジウム −次世代の地震学に期待すること−に参加して 立命館大学 理工学部4回生 森下 健 |
私は現在、立命館大学理工学部で固体地球物理研究室(見野・小笠原研究室)に所属し、小笠原先生の下で南アフリカ金鉱山における半制御地震発生実験、震源過程の至近距離観測についての研究をしています。私がこのシンポジウムに参加した経緯は、先日行われた日本地震学会秋季大会(於九州大学)で今回の発起人でもある井出さんにお会いした際に今回のシンポジウムの旨を聞き、私自身も菊地先生が編著された“地殻ダイナミクスと地震発生”という本を啓蒙書、指導書として勉強させていただいたこともあり菊地先生御自身の研究内容について深く理解し、どのような発展を遂げていくものなのかを知りたいと思い参加させていただきました。 金森先生から始まり、武村さんに至るまで様々な先生方の講演を聞いていく中で、菊地先生の菊地地震学とも言うべき「震源過程、強震動予測、リアルタイム地震学」についての知識を深められた事は私にとって大変有意義なものとなりました。震源過程についての講演では動的破壊過程と破壊エネルギーのスケール依存性などは、私自身南アフリカでの地震波形、震源過程やコサイスミックな歪変化の解析において主にM3以下のサイズの微小地震を対象に行っているのでスケール依存について再考すべきだと感じました。 今回のシンポジウムに参加した中で、私が最も菊地地震学の中で関心を抱いたのが「リアルタイム地震学」の部分でした。地震の観測網の発達や破壊過程の様式などの解明は以前から地震学者が試行錯誤し切磋琢磨してきた部分ではあるが、一方で解析結果の即時公表や解析などはあまり研究なされていなくて、菊地先生がエポックメイキングとなり地震学と社会に対して多大な貢献をなされ、横浜市における50mメッシュに亘る詳細なハザードマップの作成などは地震学が市民生活の防災面において大きく貢献できる可能性を感じました。 その他にも、リアルタイム地震学だけでなく関東のプレート構造の新たな解釈や重力波を用いた重力波地震学などという考え方は地震学にとって新しいエポックメイキングなことになる可能性もあり、菊地先生の地震学全体にもたらした物の大きさを認識できました。これから私が地震学の勉強を進めていく上で何年か後に、菊地先生の研究が生かされていき改めて先生の貢献の大きさを再認識するのではないかと思います。 |
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菊池正幸教授記念シンポジウム感想文 立命館大学 竹内宏之 |
シンポジウムに参加して、菊池先生の研究が地震学の多くの分野に貢献し、今なお発展し続けていることに感銘を受けました。また、菊池先生の業績は、学術的な評価だけでなく、のちの社会的な評価が非常に高いことにも驚きました。 今回のシンポジウムでご講演されていた翠川先生は、阪神淡路大震災での教訓を活かして、横浜市で地震対策強化推進委員会議を開催したと聞きました。そこで横浜市の各地のゆれやすさを50mというとても細かいメッシュで区切ったハザードマップを作成して、それを住民に配布するなど、科学を実際社会にどのように還元していくかの具体例を知れて非常によかったです。私が地震を勉強しようと思ったきっかけのひとつに「何か世の中の役に立つ学問を勉強したい」というものがありました。私がこれから大学院で勉強する学問が社会にとってどのようなものであり、またどのように社会に還元していくのかの一例を知れました。 しかし、多くの研究者が日々研究していることのすべてが活かし切れているとはいえないということを先生方のご講演の中で感じました。やはり、現状では研究成果とそれを活かす側がしっかりと結びついているとはいえないと思います。それは発信する研究者側にも、それを受け取る側にも問題があると思います。私は研究する側として、研究成果をどう活かすかということを考えると同時に、如何に伝えていくのかを考えていかなければならないのだなと感じました。その点を考えると、菊地先生の研究とそれを受け継いだ先生方の研究が、社会的評価が高く多くの方と協力して社会貢献できていることは非常にすばらしいことだと思います。 最後になりましたが、今回菊池正幸教授記念シンポジウムへの参加にあたって、旅費を補助していただきありがとうございます。普段聞けないお話を聞くことができ、今後地震学を勉強するにあたり、貴重な時間を過ごすことができたと思います。今回のシンポジウムを通して私が感じたこと、考えたことを来年度からの大学院での研究の中で少しでも活かせればと思います。 |
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「シンポジウムを聞いて自分が考えたこと」 立命館大学理工学研究科環境社会工学専攻博士前期課程2回生 |
この度、私は「菊池正幸教授記念シンポジウム −次世代の地震学に期待すること−」に参加させていただき、多くの先生方の興味深い講演の中から菊池先生の地震学に対する思いというものを感じ取ることができました。菊池先生は地震学というどちらかというと基礎研究に近い分野に留まらず、地震学の社会へのフィードバックというものを考え実行してこられました。特に、菊池先生が構築された横浜市の150点高密度強震ネットワークによって50mメッシュの地震動マップが作成されたことには感動しました。頭の中で計画を考え付くことは簡単ですが、実際にその計画を実行しようとしたときには様々な困難が待ち受けているものです。今回の講演ではその辺の苦労話はあまりありませんでしたが、菊池先生が多くの苦労をしてこられたであろうことは容易に想像ができます。我々が使用できるデータは過去の多くの先生・先輩方が汗水流して集められたものであり、単なる数の羅列ではないということを改めて感じることができました。 このシンポジウムは菊池先生のされてきた「地震学」を踏襲しつつ、未来の地震学がどのような道に進んでいくべきかが大きなテーマであったような気がします。プログラム中で松澤先生が言われているように、菊池先生の「地震学」は地震学の教科書が扱う全内容をカバーするものではなく、「震源過程」「強震動予測」「情報発信」です。これらの進む道、特に「震源過程」「強震動予測」「情報発信」を結んだ先にあるものに関してはこのシンポジウムで具体的な形が提案されていました。理学的な観点から見ている地震を工学・社会学と結びつけて考えることによって社会貢献を果たすことができるというものでした。そのような試みはすでに行われていますが、結局はそれぞれの立場にいる人間の意識が高いか低いかによってそれらの結びつきを密にできるかどうかが決定付けてられているのではないかと感じました。また、自分の領域だけに固執するのではなく、積極的に慣れていない専門外へ通じる扉を開ける決断力、その中で得られた新しい知見と自分の領域とを融和することができる柔軟性、それらを使用して計画を遂行できる実行力、が我々のような若手が将来の地震学を担っていく中で必要になってくる能力ではないでしょうか。このような意識の高さと能力を持ち合わせた、我々の見習うべき菊池先生がもうおられないのは非常に残念ですが、先生のご遺志をこのシンポジウムから感じることができました。 最後になりましたが、シンポジウム参加のために旅費を用意してくださってありがとうございました。大変貴重な時間を過ごすことができたことを感謝いたします。 |
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私は昨年の訃報に接するまで,菊地先生と直接会話を交わす機会はとうとう持てませんでした.同じ学会に所属していたのに,学会会場などですれ違うこともなかったと残念に思っていました. そんな私でも,大規模地震の発生時には東京大学地震研究所の「EIC地震学ノート」を参照したり,「横浜市の稠密地震観測網」を基にした論文を読んだりする機会は何回もありました.それらを通じて間接的ながら菊地先生を意識していたことと,次世代の地震学って何だろうという興味とから,今回のシンポジウム参加を決めました. シンポジウムの講演を数々聴くうちに,私の見ていた「地震学ノート」や「稠密地震観測網」は,「菊地地震学」の現時点での成果であり,入口のようなものであったのだ,と思い知らされました.「菊地地震学」は,その基底に菊地先生の意思が生き続けていて,発震機構から地震被害,リアルタイム地震解析,果ては重力波地震学を用いたブラックホールの破壊過程と,今もなお発展しながら広がっていました. それに対して,自分のこれまで行ってきた「研究」はなんて小さいものなのだと肩を落としました(菊地先生と私とを直接比較するのは失礼なことですが).でも,その時,「地震という現象にはまだまだ分からないことがあるのだから,“君も”大丈夫,何かはやり遂げられる」と先生に背中を押されたと感じたのは気のせいではないはずです.先生の後進への熱意は,講演者や今回のシンポジウム主催者から伝わってきていましたから. 「菊地先生,見ていてください.次世代の地震学者(になる予定)の私も日々頑張って,地震学の中で何かをやり遂げます」 これが今の私の決意です. |
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菊池正幸記念シンポジウム - 次世代の地震学に期待すること ? 「シンポジウムを聞いて自分が考えたこと」 九州大学 中村武史 |
11月1、2日に東京大学の弥生講堂一条ホールで開催された「菊池正幸記念シンポジウム-次世代の地震学に期待すること-」に参加しました。菊池先生は、ご存知のように、震源のメカニズム解析をはじめとして、割れ目伝播に関する理論的な研究、波動伝播に関する理論的な研究など多岐にわたって地震学の発展に貢献をなされた方です。学会会場を埋め尽くすほど盛況だった菊池先生の研究発表の様子はいまでもよく覚えています。私が現在取り組んでいる研究は、菊池先生がされていた研究と直接的な繋がりはあまりありませんが、菊池先生が残された功績、菊池先生と一緒に研究をされた方々の発表、また地震学に関連した最新のトピックについての講演を是非聞いてみたいと思い、今回のシンポジウムに参加させていただきました。 横浜市における強震ネットワークについての講演では、強震計を使ったネットワークが、防災の面で、情報発信という面で、また研究データの蓄積といった面で多大な貢献を果たしていることが理解できました。1つの都市に150点もの強震計を配備したネットワークデータから作成された非常に詳細な震度分布マップに改めて驚かされ、また同時に、このネットワークが研究者と一般の市民とが地震についての情報を共有し、理解を深めるための有効な手段になると感じました。即時地震情報を使った地震警報についての講演では、いつ地震波が到着するかといった警報の事前の受信が防災行動を始めるきっかけとなり、講演者が紹介された、警報を受信するための一連のシステムが今後の防災行政や防災活動において非常に強力なツールになると感じました。また、数値シミュレーションによる関東の強震動についての講演では、関東地方における将来の地震被害の予測図を紹介されていました。私の実家も比較的震度が強いところに位置していることが判明し、他人事ではないと一抹の恐怖を感じました。このような予測図の作成は、経験的な手法による地震の予知とは別にして、人々の防災意識を高めることに非常に役立つのではないかと思いました。 この2日間はとても有意義に感じました。期間中、たくさんの研究発表を聞くことができ、貴重な時間を過ごすことができました。今回のシンポジウムで得たことは今後の研究に役立つものと信じて止みません。発表者の皆様、スタッフの皆様にお礼申し上げます。 |
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菊池正幸教授記念シンポジウム 「次世代の地震学に期待すること」に参加して 九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻 内田浩二 |
本シンポジウムに参加し、ご高名な先生方の講演を聞くことができ、たいへん勉強になりました。副題にあるように、先生方は各研究分野における課題や展望をお話になり、それは皆たいへん興味深いものでした。名大・林さんの即時地震情報を活用したシステム“ナウキャスト”での到達前の地震警報の体験談や北大の勝俣さんの“重力波地震学”を用いた超新星爆発の破壊過程やブラックホール形成過程の推定の可能性といった壮大なお話など、感銘を受けました。また講演後には先生方の熱い質疑応答が繰り広げられ、たいへん刺激を受けました。 最後になりましたが、私たち学生にこのような学習の場を与えてくださいまして、ありがとうございました。またこのような機会がありましたら、ぜひ参加したいと思います。
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「シンポジウムを聞いて自分が考えたこと」 京都大学防災研究所 朴舜千 |
11月1日〜2日二日間行われた「菊池正幸教授記念シンポジウム−次世代の地震学に期待すること」に参加した。かつて‘菊池先生’といえば、震源過程の専門家というイメージが強かったが、それだけではなく、強震動、地殻変動、防災など様々な分野に関する講演を聴くことができ、故人が幅広い研究活動をされていたことを知った。普段学会では時間が重なって聞けないような分野の講演も聴いたし、今までの地震学関連のすべての研究がまとめられたような内容でいいと思った。 その中でも、‘論文にならない仕事’と言った武村さんの表現のように、業績のためではなく、防災を考えた仕事、研究の結果を社会によりやさしく還元するための努力をされていたことに感動した。留学生として日本で習得した地震学の様々な知識や経験を、母国に帰って地震研究や防災に関する仕事に活かそうとしているが、自分の知的好奇心のための研究や仕事でなく、地震に関する知識を分かりやすく一般人に伝えること、情報を使いやすくする仕事をすべきだと思った。これからの自分に何ができ、何をするべきかを考えながら帰る中で、今回のシンポジウムは自分にとって大変有意義だったと思った。
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シンポジウムを聞いて考えたこと 広島大学理学部地球惑星システム学科 林田拓己 |
私は現在、学部の卒業研究作成のために強震動の基礎的な導入部分を勉強している段階です。こういう“超・若手”の自分にもシンポジウム参加の機会を与えて下さったことに、まず関係者の方々への感謝を申し上げます。私は以前から地震学に対しての興味はあったのですが、大学に入ってからは、“基礎科学の研究”を行う上での自分の研究の方向性について考えていました。そんな時期に出会ったのが、菊池先生の著書『リアルタイム地震学』でした。“地震研究と社会のニーズは、実はかけ離れた位置にあるんじゃないか?”とそれまでは考えていたのですが、この本を読んでからは“社会に貢献できる地震学(理学的な研究が防災にも有効に利用されること)”があることを知り、現在の研究に対しての方向性が決まりました。 今回のシンポジウムで聞いた内容は、これまで自分が読んできた論文に関連する内容や、研究室で聞いたことがある話題が多かったので、非常に興味深く聞くことができました。また、今後の研究で私が解析していく予定である常時微動、横浜強震動ネットワークで得られた揺れの多様性、3次元FDモデル、アスペリティの話や、新潟県中越地震に関する最新の解析結果も聞くことができて、限られた時間ではありましたが、非常に充実した2日間を送ることができたと思います。全ての講演内容について興味深く聞くことができました。業界をリードされている方々の講演とあって(あと場所が東京大学ということもあって)何かと緊張する面もありましたが、講演を受けて、自分の研究に対する方向性や取り組みに対する思い入れが更に深いものになりました。また、歴史地震のデータを防災に役立てることや、従来の“常識”を疑うことの重要性など、普段大学にいるだけでは得ることはできない多様なお話も聞くことが出来て、改めて『今後の地震学の方向性はどうあるべきか?』ということについて考える時間が持つことができました。これは大きな収穫であったと思います。新潟中越地方で起きた過去の大地震の話、ナウキャストの活用法、JRのユレダスなど、まさに今後の防災対策の上で欠かせない分野についての話を聞くことで、自分が今後研究活動をしていく上での1つの明確な指標をつかむことができたと思っています。 菊池先生については、恐縮ながら著書・数点の論文(遠地実体波のインバージョンなど)で紹介されていた僅かな業績しか存じ上げていなかったのですが、今回のシンポジウムに様々な分野の方が出席されていたのを目の当たりにして、改めて故人の偉大さ・地震学に対する思い入れを実感することができました。特に懇親会では、他の場所では聞くことができない菊池先生の人柄にまつわるエピソードなども伺うことができて、貴重な時間を過ごすことができたと思っています。 |
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シンポジウムを聞いて自分が考えたこと 東北大学理学部 4年 澤崎郁 |
菊地先生といえば震源の物理学の第一人者という印象が強かったが、今回の講演者の話の内容を概観すれば,震源のみならず、地震学全般、さらには社会との関わりについても並々ならぬ精力を注いでおられたということがあらためて分かった。 私にとってとりわけ印象深かったのは初日の4番目に講演された翠川先生の、「高密度強震計ネットワークからわかったこと」という話である。横浜市は防災に積極的であるという話は以前からおぼろげに聞いてはいたが、その背景に菊地先生のこのような努力があったことをはじめて知った。やったことは市街全域に150点の強震計を設置しただけの話で、住民に直接耐震診断を受けるよう訴えたというようなものではない(そのようなことをされていたかもしれないが)。誰もが思うように、人はいつも地震のことだけを心配して生きていくわけにはいかないのだから、口先だけで耐震を奨励されても、費用の問題もあり、なかなか実行に移せないものである。菊地先生はそのことを十分認識しておられ、各地域でどのくらい揺れやすいかが一目でわかるように震度分布をマッピングし、それを市民に配布した。相対的な揺れやすさの違いが素人にも一目瞭然であり、同じ市域でも最大で震度にして2、速度振幅にして10倍も異なるということが実証された。耐震を考える上での地盤の重要性について、何も言わずとも市民は納得したのではないかと思う。 これら社会的な活動について教訓的だったのは、最後の武村先生の話である。菊地先生の社会的活動にかかわる業績は、「論文を書く」という観点のみから考えれば実に効率の悪いことだという指摘は、的を得ていると思う。研究者の最も重要な仕事は論文を書くことであるが、それ以外の活動を軽視するような風潮があるとすれば、残念なことだと思う。そもそも、地震学のもっとも大きな目的は地震災害を減らすことにあるのだから、それに関わる仕事は、論文と同様に評価されていいはずだと思う。私自身もそのような気持ちで地震学を専攻することに決めたわけで、菊地先生の仕事は、手本として学ぶところが多いと感じた。 |
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菊地正幸教授記念シンポジウムに参加して 愛媛大学大学院理工学研究科 博士前期課程2年 市原 寛
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旅費を支給してくれる上,興味深い内容の講演が聴けそうだということで,飛びつくようにシンポジウムに参加しました.自分の専門が(狭義の)地震学ではないことと勉強不足のため,講演を理解できるか少し不安であり,実際理解できない部分もありました.しかし,地震学の最前線では何が行われており,今後どのように発展する可能性があるかということについては自分なりに理解でき,非常に有益なものとなりました.また,自分のアイデアの幅も広がったと思います. 講演では地震学の研究がどのように社会の役に立っており,役に立つ可能性があるのかという点に焦点を当てた話も多く,勇気付けられました.また,菊池先生は常にそのような視点を持っていたということを,シンポジウムおよび会場で買った「リアルタイム地震学」によって知り,「惜しい人を亡くした」ということを実感しました.非常に残念に思います. 懇談会では菊池先生をはじめとする著名な先生方に関する裏話(?)が聞け,また興味を持っている研究分野の先生から直接話を聞くこともでき,良い思い出となりました. 最後に,新潟県中越地震などで多忙であるにも関わらず,シンポジウムの準備をして下さった講師の方々,実行委員会の方々に心から感謝いたします.また,学生への旅費の支給という心優しい企画が更に有益なものとなるように,精進していきたいと思います. |
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菊池正幸教授記念シンポジウム -次世代の地震学に期待すること- を聞いて自分が考えたこと 九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻 田原道崇 |
神戸や新潟中越のような大規模な災害を防ぐ上で、地震学を研究することは非常に大切なことだと思います。今回のシンポジウムでは破壊の伝播過程から、強震動予測、リアルタイムな情報を使っての防災についての講演等があり、非常に勉強になりました。 リアルタイム地震学といわれても一般の人にとっては何のことだかわからないというのが正直なところだと思います。ほぼ瞬間的に発生する地震を体験した後で、その地震がどのような性質を持っており、どのように発生したのか?という興味を持つ人は多くはないでしょう。そのような点で、即時地震情報の話は大変興味深かったです。今後予想されています東南海地方の地震において、ナウキャストは大きな成果を発揮するでしょう。ただし、ユーザ側にきちんとした説明が必要であるという点が非常に重要であると思います。先日、テレビでナウキャストの話が出ていたのですが、あまり詳しいこと(直下型の地震等ではあまり意味がないこと)を説明していなかったのが残念でした。 本シンポジウムに参加し得た知識を今後の研究に生かして生きたいと思います。 |
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「菊地正幸教授記念シンポジウムに参加して」 九州大学理学府地球惑星科学専攻修士課程一年 豊国 源知 |
2004年度日本地震学会秋季大会の最終日に、廊下に掲示されていた本シンポジウムの案内を見て、自分の研究に近い内容の講演がある上、旅費の援助も受けられることを知り、早速申し込んだ。研究を始めて間もない私は、地震学関連のシンポジウムに参加するのは今回が初めてであり、会場の雰囲気、講演終了後の意見交換等、すべてが新鮮であった。会場にはいくぶん緊張して訪れたが、明るくモダンな雰囲気で気持ちが和んだ。講演内容は「菊地地震学」の根幹を成す震源過程・強震動予測・情報発信・古地震学の全てにわたっており、幅が広く、全体像をつかむのがとても難しく感じられたが、追悼文集で松澤先生が書かれている「ジグソーパズル」の「ピース」の話しを思い出し、納得できた。いま聴いている講演の一つひとつはジグソーパズルのピースで、これらが組み合わされて菊地先生が描こうとしていた未来像が出来あがるのだなあ、と思った。私は現在、差分法を用いた地震波伝播モデリングを行っているので、古村先生のシミュレーションの講演には興味をそそられた。また勝俣先生のブラックホールの講演では、地震学が思わぬ分野へ応用できることを知り、驚きを感じた。林先生のナウキャストの講演では様々な体験談が報告され、楽しかった。金森先生と中谷先生の議論や、「地震学」の定義についての議論など講演終了後の討論も活発になされ、まさにシンポジウムと呼ぶに相応しいと感じた。 本シンポジウムへの参加にあたり、菊地先生の追悼文集や著書等に目を通した。追悼文集で菊地先生の、「いまはどこにいてもインターネットでデータにアクセスできますから、解析をして、世の中に役立つ情報を出すこともできる」「ことの重大さを直感的に感じ、この地震の全貌をできるだけ早く解明し、周りに伝えることが自分の使命であると決めました」という言葉を目にした時、日本の地震学草創期の地震学者である今村明恒先生を思った。今村先生は「地震(津波も)は自然現象である。人力では之を抑へることは出来ない。震災は地震が人の生命財産に及ぼす災害である、吾々の知識と努力によっては之を免れ得べきものである」を持論とし、私財を投じて南海地震予知のための観測所を設置するなど、常に研究を社会に還元しようとした。海外では有感地震の経験がない地震学者も多いのに対し、日本の地震学は常に震災と密接に結びついて発展してきた。震災を少しでも軽減するため、研究成果を活発に社会に還元していくことは、日本の地震学の本質である。菊地先生の言葉を目にして、今村先生以降の日本の地震学者の気質が現在にまで脈々と受け継がれてきていることを感じ、将来研究者を目指している自分もこのような研究者となりたいと強く感じた。 シンポジウムの最後に、通常このようなシンポジウムでは遠地からの学生への旅費の援助は行わないが、今回は特別に故人の遺志を汲んで援助を行うことにした旨を伺った。身が引き締まる思いがし、このシンポジウムに参加できたことを誇りに感じた。本シンポジウムへの参加を通して、研究者としての道標となるべき様々なことを学べた上、お目にかかることがなかった菊地先生をとても身近に感じることができた。 このような有意義なシンポジウムに参加させていただき、ありがとうございました。 |
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シンポジウムの感想文 九州大学理学府地球惑星科学専攻修士課程一年 山本 容維 |
私は、こういうシンポジウムに参加するのは初めてでしたので、かなりの期待感を持って地震研を訪れました。 今回のシンポジウムでは私が普段目にすることのない、「Science」としての地震学ではない「現場」での地震学についての公演を聞けたことは、私にとって非常に意義深いものであったと同時に、興味深いものでした。中でも、横浜市における独自の災害マップ、即時地震情報などは市民が地震学に最も期待していることであり、我々が「Science」としての地震学を捕らえていくときに、常に社会が基礎科学について求めていることについて意識しなければならないということを再認識させられました。 また、まだまだ修行中の身ですが、今回のシンポジウムが単なる研究発表ではなく、いろいろな角度から地震学というものを見つめる、よい機会だったと思います。特に、現在の地震学がどこまで進んでいるのか、そして今後の展望・可能性についても公演者の方々に語っていただき、非常に興味深く聞かせていただきました。私は残念ながら、菊地先生にお会いすることはなかったわけですが、菊地先生の遺志が少しでも感じられたかのようにも思います。 最後に、すばらしい公演をしていただいた皆様に対し、感謝の気持ちを表したいと思います。そして、今回のシンポジウムが私の今後の研究について意味のあるものにしていければと思っています。 |
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