火山モデリング研究グループ 東京大学

東京大学地震研究所
数理系研究部門
小屋口研究室

〒113-0032
東京都文京区弥生1-1-1
東京大学地震研究所2号館

小屋口 剛博
tak(at)eri.u-tokyo.ac.jp


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東京大学
地震研究所
数理系研究部門
 
 

研究内容

 
本研究室では火山噴火現象のダイナミックス研究を行っています.
 ・火山はなぜ噴火するのか?
 ・噴火様式(噴煙、火砕流、溶岩流)を決定しているのは何か?
 ・噴煙や火砕流はどこまで広がるのか?
 
用いる研究手法は,主に数学的な解析や数値シミュレーションです. 複雑な火山現象の中から重要な物理過程を見つけ出してモデル化し, その現象を理解しようとすることが本研究室の目標です.

特に最近では,マグマ溜まりから噴煙までを記述できる統一的なモ デルの構築にチャレンジしています.また,高い精度で取得される ようになった火山観測データから火口やマグマ溜まりの情報を再現 することを試みています.
 

「3次元数値シミュレーションによる噴煙挙動の解明」

 鈴木 雄治郎・小屋口 剛博
爆発的火山噴火では,上空へと広がる噴煙が観測されます.この様な噴煙の観測データ(噴煙高度・半径・ 降灰分布)と,噴火の強さなどのマグマが火口から噴出するときの条件を調べるために,火山噴煙の3次元数値シ ミュレーションをスーパーコンピュータを用いて行なっ ています.

風でたなびく噴煙の3次元シミュレーション結果.(a)噴出物濃度0.2wt%の等値面と(b)噴出物濃度分布の断面図.
 
 

「移流拡散モデルによる火山灰の大気中滞留・地表面堆積メカニズムの解明」

 清杉 孝司・小屋口 剛博・鈴木 雄治郎
爆発的火山噴火では,上空に運ばれた火山灰が拡散し,地表に降灰します.どの高度に火山灰が濃集 し,どの領域まで降灰するかを明らかにするために粒子の移流拡散モデルの開発を行なっています.

移流拡散モデルPUFFによる新燃岳2011年噴火の噴煙シミュレーション.
 
 

「数値モデルによる火道内マグマ流の解析」

 小園 誠史・小屋口 剛博
火山噴火のタイプには,溶岩ドームや溶岩流をもたらす非爆発的なものから,巨大な  噴煙をもたらす爆発的なものまで,非常に幅広い多様性があります.このような多様性  が生じるメカニズムや条件を明らかにするために,火道内のマグマ混相流の複雑な上昇  過程を再現する火道流数値モデルを構築し,その解析を行なっています.

火道内マグマ上昇流の1次元シミュレーション結果.
 
 

「shallow water modelを用いた火砕流挙動の解明」

 志水 宏行・小屋口 剛博・鈴木 雄治郎
火砕流の流動機構(先端位置・厚さの時間発展)の理解を目指し,浅水波理論を用いた数値シミュレーション研究を行っています. 図:火砕流を模したダム・ブレイク問題を1次元モデルで再現した計算例.時間と共に火砕流の高さが減少しながら 進展している様子を示しています.

ダム・ブレイク問題の1次元浅水波方程式シミュレーション.
 
 

「インバージョンを用いたマグマ溜り・火道の状態の推測」

 松尾 直弥・小屋口 剛博
マグマ溜まりから火口までの火道をマグマがどのように流動しているかは実際に見る ことができません.そこで,火道内流の数値モデルにおけるパラメータを統計的に扱う ことで(ベイズ決定理論など),より尤度の高い火山内部の描像を得ようとしています.
 

最近の修士論文題目

 

「火口における過剰圧が火砕流発生条件に与える影響に関する数値流体力学的研究」

 稲川 聡(平成25年度卒業)
一般に,火山噴煙は大気圧よりも高圧で火口から噴出してきます.高圧噴出による噴煙と大気の混合効率の変化,その結果としての, 火砕流の発生条件の変化を3次元数値シミュレーション結果をもとに議論しました.

3次元シミュレーション結果の解析によって得られた,噴煙への大気流入量分布.
 


「火山現象のモデリング」

小屋口 剛博[著]
東京大学出版会
ISBN978-4-13-060750-6
発売日:2008年06月上旬
判型:A5, 664頁
税込9288円/本体8600円
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