ウェブサイト立ち上げ:2013年10月1日
9月24日11:29UTC、パキスタンでM7.7の地震が起きました。
データ:2013年9月24日パキスタンで起きた地震の震源破壊を、Hi-net観測点700およびヨーロッパ観測点200で観測された高周波数のP波を用いた逆投影(バックプロジェクション)解析(図1)

図1.USGSによる、2013年9月24日のMw 7.7パキスタン地震の震央(赤星)とHi-netおよびヨーロッパの観測点の分布(赤三角形)。
挿入図の黄色い○は、本震から3日間のうちに起きた余震で、灰色の○は過去の地震活動を示す。
手法:Wang and Mori, 2011, EPS, およびWang and Mori, 2011, GRL.
結果:逆投影による解析結果は、破壊が南西に150km、時間にすると40-50秒で伝播したことを示唆している(図2)。破壊伝播の様子は、北に伸びていることを示す余震分布とは一致しない。波形インバージョンの破壊すべりモデル(T.Lay私信)は、地震モーメントの80%までは北で放たれており、余震分布と調和的である。
一方破壊速度は~4 km/秒と非常に速く、これはS波の速度~3.5 km/秒よりもずっと早いため、他にも超せん断破壊があった可能性を示唆している。

図2.(a):
上:Hi-netにより算出された場所、時間および時間段階(秒)ごとの最大相関の振幅。格子点は測定された震源決定を示す。
中:時間ごとにオーバーラッピングウィンドウで見た場合の、最大振幅の正規化数(振幅を2乗したものの合計)。
下:各時間ごとのオーバーラッピングウィンドウで見られる、最大振幅の位置を示すための時間に対する距離(破壊速度)。距離は震央から測られたものである。色別された線は1.5、3.0と6.0kmの破壊振幅の傾斜を示す。
この地震に関して他に特記すべきことは、地震後、グオーダー沖に島が出現したことである。地震学者によると泥火山により生成されたと考えられている。しかしながら、泥火山は震央から400km離れたところに位置し、200km以下であった過去の例に比べると距離があり過ぎる。逆投影分析により明らかにされた、南西に向かった強い高周波エネルギーによるものなのかもしれないが、更に調査を進める必要がある。
(海半球観測研究センター:Dr.Wang Dun / 原文:英語)