3.1.3 地球ダイナミクスの研究

地球ダイナミクスの研究においては地球深部起源と思われる地球科学的現象について,主に数値シミュレーションの手法を用いてモデルを構築し,解明している.地震波トモグラフィーの結果から日本周辺のスラブの形状を推定し,遷移層にあるスタグナントスラブと下部マントルの間に“隙間”があることを示した.このような“隙間”は粘性率の温度依存性を考慮した数値シミュレーションでは一般的には見られない.従って,この“隙間”を説明するために沈み込み帯の数値モデルを作成し,そのような“隙間”が日本海の拡大によって生じる可能性を指摘した.今後は,このモデルのリバイズ,日本周辺の地質発展史を考慮したモデリング,そして他分野と協力してスラブ形状の詳細の調査を行う予定である.