高圧実験を主体とする実験的研究

 

火山活動の源となるマグマの多くは上部マントル物質の部分溶融で生成され,部分溶融の程度や,深さ(圧力)の違いなどによってマグマ組成の多様性が生じる.また,地球初期には地球の表面を覆う,深いマグマの海が存在し,このマグマの海における結晶・固化の過程で現在の地球内部構造の大局が形成されたと考えられている.これらの問題の定量的取り扱いをめざして,地球始源物質であるコンドライトやマントル物質であるペリドタイト,沈み込む海洋地殻などについて高温・高圧実験をおこなって,これらの物質の溶融関係を研究してきた.この研究の中には通常のシリケイトマグマだけでなく,初期地球のコア形成に重要な役割を果たした溶融鉄の研究も含まれる.また,水や炭酸ガスといった揮発性成分の超高圧下における挙動の研究も含んでいる.特に、大学院生であった三部(現在カーネギー研究所)を中心とするマントル中の水の存在形態,化学組成などの研究はいくつかの画期的な成果が得られ,注目を集めた.

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