令和4年度地震研究所職員研修会報告

研修運営委員会

令和4年度地震研究所職員研修会を令和5年2月2日(木)~3日(金)の2日間にわたり開催しましたので,ここに報告いたします.

1.研修会の概要

 本研修会は例年3日間の集合研修で企画しておりますが,コロナ禍の現状をふまえ,昨年度に引き続きオンライン開催といたしました.これに合わせ,従来の「技術発表」・「所外研修」・「特別講演」の3構成から,「技術発表」に相当する「口頭発表」および「ポスター発表」,「特別講演」に加え,今回新たな試みとして「オンライン研修」を導入し,これらを2日間の日程で開催しました.

 <1日目> 開会式に引き続き,西海太介氏(一般社団法人 セルズ環境教育デザイン研究所)によるオンライン研修,研修報告,ポスター発表(6件)を行いました.

 <2日目> 初めに口頭発表(2件),続いて山野誠教授(東京大学地震研究所)による特別講演を行いました.その後,口頭発表(6件),続いて地震火山災害予防賞の授賞式(受賞者:北海道大学 山口照寛氏,東北大学 平原聡氏)と受賞記念講演が行われ,最後に地震研究所所長佐竹教授の講評と本研修会実行委員長の挨拶をもって修了式といたしました.

 本研修会への事前参加申込者のうち,2日間全ての研修に参加をご希望された方は37名で,その内訳は所内16名,学内(地震研以外)1名,他大学20名でした.一部のみご参加いただいた方や,特別講演の聴講を含めると60名以上の方々にご参加いただきました.また昨年度と同様研修会の全日程を録画し,期間限定で申込者のみなさまに公開しました.

2.アンケート回答概要

 研修会ではより良い運営を目指して,毎年参加者にアンケートをお願いしております.今回は34通の回答をいただきました.アンケートにお答えいただいたみなさまに感謝申し上げ,ここに要約してご紹介いたします.

 問1-2では研修会の内容を項目別に5段階で評価していただきました.全ての項目(「口頭発表」・「ポスター発表」・「オンライン研修」・「特別講演」・「全体」)で概ね高い評価をいただきました.その中でも特にオンライン研修の評判が良く,「新鮮で興味深かった」「飽きずに聴講することができた」と好意的なご意見を多くいただきました.ただポスター発表に関しましては「時間が短い」「oViceがうまく使いこなせない」「奇数・偶数ごとにコアタイムを分けてほしい」などのお声もいただいております.今後は改善を図り,より良いポスター発表となるよう努めてまいります.

 問3-8では次回の参加予定と開催時期,開催形式の要望をお伺いしました.大多数の方々が次回も参加していただけると回答して下さり,深く感謝申し上げます.また,すべての方が例年と同じ1月~2月上旬の開催を希望されていました.参加された方の多くは地震火山の観測に携わっていらっしゃることから,やはり野外観測が比較的少ないこの時期が研修会の開催時期として適していると感じております.
 開催形式では,対面集合とリモートのハイブリッドを望む方が一番多く,次に対面集合のみ,そしてリモートのみとなりました.どちらの形式も良い面があり,参加される方の都合により選択できる形式が望ましいのだと思われます.実行委員会の負担も考慮しつつ,できるだけ多くの方にご参加いただける研修会を目指してまいります.

 問9-12では研修のあり方,および希望される所外研修の訪問先や所内研修,オンライン研修の内容をお伺いしました.多くの方が所外研修を望んでおり,訪問先として気象庁や防災科学研究所,産業技術総合研究所など多くの研究所や施設,企業を挙げていただきました.一方,所内研修では,機械工作,光ケーブル加工,地震観測,等のご希望が,またオンライン研修では,マニュアル作成や衛星データ/GISなどの講習,危機管理セミナー,等多分野にわたり,みなさまの業務や興味の幅広さが感じられました.

 問13では特別講演の講師や内容についてご希望をお伺いしました.講師は地震研究所内外の教員複数名のお名前を,講演内容は現地観測や通信技術ついての話を聞きたい,というご要望をいただきました.

 問14では修了証書の配布形式についてお聞きしました.今年度もオンライン開催に合わせて基本的にPDFでの証書発行とさせていただきましたが,従来の紙の証書を希望される方も数名いらっしゃいました.どちらの発行にも対応いたしますので,お気軽にお知らせいただければと思います.

 問15では発表された方を対象に,気が付いた点やアブストラクトテンプレートへのご意見を伺いました.発表時の音声を大きくしてほしい,アブストラクト集にページ番号を付けて欲しいとのご意見が寄せられました.いただいたご意見をもとに,これからも改善をすすめてまいります.

 問16ではその他のご意見等をお伺いしました.多くの方から感謝のお言葉をいただいたほか,オンライン開催や運営方法に関して率直なご意見をいただき,深く感謝申し上げます.これらのご意見を参考に,今後もよりよい研修会を目指してまいります.

3.研修会を終えて

 今年度の研修会は,従前どおり野外観測の比較的少ない2月頭に開催されました.所内・学内からの参加のみならず,北海道大学,東北大学,名古屋大学,京都大学,高知大学,鹿児島大学から20名の参加をいただき,また技術発表件数も口頭・ポスター合わせて14件となりました.

 技術発表では,例年同様,野外における観測,新しい観測手法の開発や調査,業務改善にむけた取り組み,アウトリーチ活動など,多岐にわたる発表をしていただきました.口頭発表では多くの質問や意見が交わされ,ポスター発表でも活発な議論が行われました.

 オンライン研修では,所外から講師を招き,野外の危険生物への対策について講義をしていただきました.今回初の試みでしたが,参加者からの高い評価をいただき安堵しております.遠隔地からも気軽に受講できるメリットを生かし,今後も良いテーマがあれば積極的に検討していきたいと考えております.

 今年度も参加された皆様のご協力もあり,無事に研修会を実施することができました.コロナ禍によって研修のオンライン化が進んだ結果,オンラインと対面の双方の良さが再認識され,現在は研修においてオンラインと対面をどのようにうまく取り入れるかが重要になってきております.この職員研修会も,従来の対面形式と近年実施したオンライン形式の双方のノウハウを生かし,次回以降もより充実したものになるよう,委員一同真摯に取り組んでまいります.

4.謝辞

 本研修会の職員参加につきまして,ご賛同及び格別のご配慮をいただきました各施設長のみなさま,開催期間中の業務につきましてご配慮いただいた所内教員のみなさま,特別講演の依頼を快くお引き受けいただいた山野先生,事務手続きや受付・修了証の発行等でご協力いただいた所内職員のみなさまに,委員一同,この場をお借りして心よりお礼申し上げます.この研修会は,専門部会や学会とは異なり,自由に技術や情報共有,問題提起ができる場です.これからも,話題の新旧や分野に気兼ねすることなく,積極的に発表していただければと思います.地震や火山に関わる全国の技術系職員や省庁・研究所職員が普段の業務活動で得られた知識や経験を共有する場として,本研修会が活用されれば幸いです.

5.参考資料


※ 令和4年度 研修運営委員 ※

石山 達也(運営委員長) ・ 蔵下 英司(運営副委員長) ・ 藤田 親亮(実行委員長) ・
浦野 幸子(実行副委員長) ・ 安藤 美和子 ・ 渡邉 篤志 ・ 秋山 峻寛 ・ 橋本 匡 ・ 佐伯 綾香