議事概要

第9回(平成23年度第1回)首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会
開催日時 平成23年9月5日(月) 13:30〜17:30
開催場所 東京大学地震研究所1号館3階 会議室

議事次第

[1] 報告

・開催の挨拶 (末廣委員長)

・配布資料、出席者の確認 (事務局)

・前回議事録の確認(事務局)【首23-1-2】

・新研究員等の自己紹介(事務局)

・文科省挨拶(文部科学省)【首23-1-3】

・事後評価報告(平田)【首23-1-4】

・共同利用報告(平田)【首23-1-5】

[2] 議事

研究計画 (平成23年度の実施計画と進捗状況について)

1.平成23年度の研究実施スケジュール(平田)【首23-1-6】

2.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査(平田)【首23-1-7】

3.制御震源を用いた地殻構造探査(佐藤)【首23-1-8】

4.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価(佐竹)【首23-1-9】

5.震源断層モデル等の構築等(増田)【首23-1-10】

6.サブプロ間連携(酒井)【首23-1-11】

7.首都直下地震動研究成果の利用促進に関する作業部会(和田)【首23-1-12】

[3] その他

・平成23年度成果報告書の作成(平田) 【首23-1-13】

・最終成果報告会及び総括成果報告書について(平田)【首23-1-14】

・運営委員総評


配布資料一覧

首23-1-1 委員名簿・出席者リスト

首23-1-2 前回議事録案

首23-1-3 文科省資料

首23-1-4 事後評価報告

首23-1-5 地震研共同利用・特定共同研究の公募

首23-1-6 平成23年度研究実施スケジュール

首23-1-7 地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

首23-1-8 制御震源を用いた地殻構造探査

首23-1-9 歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

首23-1-10 震源断層モデル等の構築等  (本文) (図)

首23-1-11 サブプロ間連携

首23-1-12 首都直下地震動研究成果の利用促進に関する作業部会

首23-1-13 平成22年度成果報告書の作成

首23-1-14 最終成果報告会及び総括成果報告書について

出席者

委員

1.研究実施機関研究者

東京大学地震研究所 教授 平田 直

東京大学地震研究所 特任教授 笠原敬司

東京大学地震研究所 教授 小原一成

東京大学地震研究所 教授 佐藤比呂志

東京大学地震研究所 教授 佐竹健治

東京大学地震研究所 教授 纐纈一起

東京大学地震研究所 准教授 酒井慎一

東京大学地震研究所 准教授 都司嘉宣

2.再委託先機関研究者

神奈川県温泉地学研究所 研究課長 明田川保

防災科学技術研究所 主任研究員 木村尚紀

防災科学技術研究所 プロジェクトディレクター 藤原広行

千葉大学大学院理学研究科 教授 佐藤利典

名古屋大学大学院環境学研究科 准教授 山中佳子

東北大学大学院理学研究科 教授 海野徳仁

京都大学防災研究所 教授 岩田知孝

東京工業大学大学院総合理工学研究科 准教授 山中浩明(翠川委員代理)

地震予知総合研究振興会 解析部長 松浦律子

産業技術総合研究所活断層地震研究センター 主幹研究員 杉山雄一

3.上記以外の有識者

(委員長)

IODP(国際統合深海掘削計画)MI(国際管理法人) 代表 末廣 潔

(委員)

東北大学大学院理学研究科 名誉教授/客員教授 長谷川 昭

北海道大学大学院理学研究院 教授 村上 亮

地震予知総合研究振興会 センター所長 阿部勝征

東京都総務局 防災事業推進係長 望月武憲(細淵委員代理)

横浜市消防局 情報技術課長 安田賢二(荒井委員代理)

気象庁 地震火山部地震予知情報課 評価解析官 舟崎 淳(横田委員代理)

オブザーバー

(委託元)

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 課長 鈴木良典

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 地震調査管理官 北川貞之

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 係長 菊池久美子

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 調査員 小林道和

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 学術調査官 飯高 隆(東京大学地震研究所准教授)

(再委託先等)

神奈川県温泉地学研究所 技師 本多亮

気象庁地震火山部管理課 地震情報企画官 長谷川洋平

東京都総務局 防災専門員主任 渡辺秀文

東京都総務局 防災専門員 萩原弘子

(地震研究所・事務局)

東京大学地震研究所 助教 中川茂樹

東京大学地震研究所 特任助教 楠城一嘉

東京大学地震研究所 特任研究員 パナヨトプロス・ヤニス

東京大学地震研究所 特任研究員 金 幸隆

東京大学地震研究所 特任研究員 増田 徹

東京大学地震研究所研究支援チーム 係長 西村まり

議事録

〔開会〕

末廣委員長から第8回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会を開催する旨の発言があった。

〔議事〕

報告

・事務局から配布資料、出席者の確認があった。

・事務局から前回の運営委員会の議事録に関して確認の要請があった。

・文部科学省・寺田地震課長から挨拶があり、サブプロジェクト間一体となって成果を出してほしいとのコメントがあった。

・東京都総務局・箕輪委員から、東京都の今後の防災対策にとってもこのプロジェクトは重要であるため期待している、との挨拶があった。

・平田委員から、科学技術学術審議会計画評価部会防災科学技術委員会にて事後評価を受けるため、本プロジェクトの成果報告を行ったことについて説明があった。

・平田委員から、資料23−1−5に基づいて、平成23年度地震研究所共同利用・特定共同研究(C)、平成24年度地震研究所共同利用・特定共同研究(B)について説明があった。

研究計画(平成23年度の実施計画と進捗状況について)

1.平成23年度の研究実施スケジュール

・平田委員から資料23−1−6に基づいて、平成23年度の研究実施スケジュールについて説明があり、平成24年3月にプロジェクト全体の最終成果報告会を実施する旨、報告があった。

・末廣委員長から、成果報告書には本プロジェクトの5か年計画の全てが書かれていることが望ましいが、今からまとめると計画が終わっていないものがあるのではないかとの質問があった。平田委員から、直前まで研究は継続し、できる限り反映させるとの回答があった。

・末廣委員長、平田委員から、今後こういうプロジェクトの最終年度の報告書を次年度に出せるような制度を検討してほしいとの提案があった。文部科学省寺田オブザーバーから、現時点では難しいとの回答があった。

2. 地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

・平田委員から資料23−1−7に基づいて、「地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査」について説明があった。

・末廣委員長から、地震活動の変化に対応する地殻変動があったのかとの質問があった。平田委員から、現在のGPSデータによる東西方向の伸長場と茨城・福島県県境で正断層の地震が起こっていることは整合的であるとの回答があった。

・長谷川委員から、フィリピン海プレートの深いところがすべっているが、関東地震のアスペリティが固着していることを考えるとなぜすべるのか、全体像として何か起こっているのか、との質問があった。平田委員から、示したのは観測事実であり原因は不明であるとの回答があった。さらに、平田委員から、しかし気になるのは活発化したのが4月以降で、一元化震源の処理が地震前と同じであれば、単純に太平洋プレート上面の余効滑りによる活発化と考えることはできないのかもしれないとの回答があった。さらに、木村委員から、相似地震のデータからは、フィリピン海プレートの運動はまだはっきりとは分からないが、本震による静的クーロン応力変化は正であるとの回答があった。さらに長谷川委員から、浅い部分では関東地震のアスペリティが固着していて、深部では今回の3月の地震によりゆっくりすべりが広い領域で加速された印象を持ったとのコメントがあった。小原委員から、浅いところの相似地震の領域は、6年おきのスロースリップと一緒にすべる領域であり、前回のスロースリップは2007年に起きたため、まだすべる状況ではなかったのではないかとのコメントがあった。

・末廣委員長から、トモグラフィーの結果が80qで切れているは、地震がないからかとの質問があった。平田委員から、地震が少なく解像度が良くないためとの回答があった。

・末廣委員長から、G-R式に対して直線にならない理由はいずれ説明できるのか、との質問があった。笠原委員から、関東地域で固有地震が多く起きていると考え、地震の種類を分類すると何かわかるのではないか、との回答があった。

3.制御震源を用いた地殻構造探査

・佐藤(比)委員から資料23−1−8に基づいて、「稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究」についての説明があった。

・末廣委員長から、今後フィリピン海プレートの形状を求めて、トモグラフィーからの速度構造との整合性を確認するということだが間に合うのか、との質問があった。佐藤(比)委員から、間に合うであろう、SCECのコミュニティモデルのようなものを作りたいとの回答があった。

・末廣委員長から、関東地震の震源モデルを説明できるプレート形状はこの研究からきているのか、との質問があった。平田委員から、それは大大特プロジェクトの成果としてできたとの回答があり、佐藤(比から、ここではプレートの深い部分をターゲットとしている、との回答があった。

・長谷川委員から、伊豆衝突帯のスラブ形状が推定されているが、資料23−1−7と似たようなプレート形状の線が引いてあり、どう関係付けてみればよいのか、との質問があった。佐藤(比)委員から、個別に求めたものだとの回答があった。

・末廣委員長から、全体をまとめるのは大変かと思うが、一般の方が見て誤解を与えないような説明ができるようにしてほしい、とのコメントがあった。

・阿部委員から挨拶があり、今回の結果を受けて7年前の中央防災会議の被害想定がどれほど変わるのかが、一つの目安となる。中央防災会議で今後検討する首都直下の長周期地震動や液状化について利用できれば良い、とのコメントがあった。

4.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

・佐竹委員から資料23−1−9に基づいて、「歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価」についての説明があった。

・平田委員から、安政江戸地震についてだいぶまとまってきたが、5つの地震のどれかに類型化できるかとの質問があった。都司委員から、関東全体の被害の図は作成できるので、震度分布を比較してみたいと思う、との回答があった。佐竹委員から、深さを決めるためには広い領域を見ないと江戸の被害だけでは比較できない、との回答があった。松浦委員から、歴史地震の最新号に最新の安政江戸地震の震度分布を発表した、とのコメントがあった。

・末廣委員長から、野比の段丘のうち今回は資料16ページの赤楕円に注目して調査したのか、との質問があった。佐竹委員から、元禄地震より前に段丘があるかどうか詳細に調べるために、ライダーを使った調査を行っているところである、との回答があった。末廣委員長から、これまで推定していた範囲を超えるような大きい地震があったという形跡はないのか、との質問があった。佐竹委員から、房総の段丘は過去6000年間の履歴が分かっていて、およそ2000年間隔で元禄型の地震が繰り返し起こっている、との回答があった。

5.震源断層モデル等の構築

・増田委員代理から資料23−1−10に基づいて、「震源断層モデル等の構築等」について説明があった。

・平田委員から、最終年度なので関係者で議論のうえ、強震動全体の成果の関係についてまとめていただきたいとのコメントがあった。増田委員代理から、近々議論を行いたい、との回答があった。

6.サブプロ間連携

酒井委員から資料23−1−11に基づいて、「サブプロ間の連携」について説明があった。

末廣委員長から、このテーマは目玉になりうると思うが今年度中にまとめるのか、との質問があった。酒井委員より、それぞれでは成果が進んでいるので、まとめられるところまでまとめる、との回答があった。

7.首都直下地震動研究成果の利用促進に関する作業部会

酒井委員から、資料23−1−12に基づいて、「首都直下地震動研究成果の利用促進に関する作業部会」について説明があった。

和田作業部会主査から、シビアに議論してもらったデータでないと、使う側としては信用しづらい部分があるので頑張ってほしい、とのコメントがあった。末廣委員長から、次回は議論の時間をしっかりとってまとめてほしい、とのコメントがあった。

その他

・和田作業部会主査から、地震学者が率先して明日起こるかもしれない地震に対して対応してほしい、とのコメントがあった。

・土井委員から、気象庁も3/11の地震以降、いろいろ考えていかなければならない部分があり、情報を出す立場としても強い意識を持って取り組まなければならないと思っている。今回のプロジェクトで何が課題で何が解明されたのかがはっきりすると良い、とのコメントがあった。

・杉山委員から、今回の成果で5つの地震の類型化が行われたこと、地下構造が明らかになってきたことが重要な成果なので、これらの成果の検討から今後の課題を整理してほしい、とのコメントがあった。

・村上委員から、地震像を明らかにするという点や、データの交流はきちんと進んでいるが、社会に役立つかどうかの絶対的な評価がわかるような報告書をつくってほしい、とのコメントがあった。

・長谷川委員から、このプロジェクトとしての成果は出ているが、地震学全体の未熟さは残っているので、今後研究を継続していくうえで、これまでの経緯をふまえて社会に役立つにはどうすれば良いか考えてほしい、とのコメントがあった。

・黒澤委員から、横浜市も被害想定の見直しを求められているので、このプロジェクトの新しい知見を取り入れ、市民が危機意識を持って行動するようなものにしたい、とのコメントがあった。

・望月オブザーバーから、東京都も被害想定を見直すので、使いやすい成果を期待している、とのコメントがあった。

・末廣委員長から、MeSO-netが構築されたのは大きな成果であり、今後に生かすために建築関係や自治体等とも議論し、お互いの誤解を無くすようにしてほしい、とのコメントがあった。

・平田委員から、5つの類型化を目指してきての成果は出たが、明治東京地震はまだ検討の余地がある、とのコメントがあった。まだ各グループの方向性はまとまっていないので、まとめる段階できちんと議論を行って報告書をまとめたい、とのコメントがあった。

・平田委員から、資料23−1−13に基づいて、「平成23年度成果報告書の作成」について説明があり、引き続き資料23−1−14に基づいて、「最終成果報告会及び総括成果報告書について」について説明があった。

・高橋オブザーバーから、期間が短くて大変だと思うが頑張ってまとめてほしい、とのコメントがあった。

〔閉会〕

・末廣委員長から挨拶があり、閉会した。