メッセージ

CHEER・M1(※) 西山竜一

(※2010年度当時。2014年度理学博士取得。2015年からスイス・ベルン大学で研究員として氷河と岩盤の境界面をミュオグラフィでイメージングすることに成功。2018年から助教として地震研究所に勤めています)

学部生4年のころに、田中宏幸先生の研究について知り、
「山の中の密度が一意に決まる!」
というミューオン観測の明快さと新しさに惹かれ、大学院で研究をさせてもらおうと決意しました。

CHEERの研究分野は、地球科学と素粒子物理学の両方にまたがっているため、両者を勉強する必要があります。そこで、私は地球惑星科学専攻の授業で、火山学・地震学などを勉強し、物理学専攻の授業で素粒子物理学を学ぶというスタイルをとり、両専攻の授業のおいしい所どりをさせてもらっています。

研究テーマは、ボアホールなどの狭いスペースでも用いることのできるミューオン検出器の開発と、ミューオン観測と重力観測を組み合わせた解析方法の開発です。研究は、日々のディスカッションなどの中で先生方からの指導(学生が少ないので、超少人数制!)を受け進めています。また、測地学のセミナーに参加するなど、地震研究所で行われているCHEER以外のグループの研究についても、知ることができています。

CHEERの学生として嬉しい点は、観測等で様々な所に行けるということです。昨年度には検出器の設置のため浅間山と糸魚川、今年度も有珠・昭和新山に連れていってもらいました。

忙しくも楽しい充実した院生生活を送っています。
現在、CHEERには大学院生が一人しかいないため、チャレンジ精神あふれる大学院生がCHEERに集まり、活発な議論ができるようになる日を楽しみにしています。

シンチレーション検出器を背負って浅間山に登る
5月なのに桜が咲いている北海道・昭和新山
シンチレーション検出器を背負って浅間山に登る 5月なのに桜が咲いている北海道・昭和新山

CHEER・D3(※) 長原 翔伍

(※2021年度理学博士取得当時。2021年から神戸大学で研究員として勤めています)

私は2014年4月から2021年7月までの実に6年半の間、CHEERに大学院生として在籍していました。きっかけは学部2年生の頃、当時在籍していた東北大学でCHEERの広報誌を見かけたことです。ちょうど進路を物理系にするか地球物理系にするか悩んでいた私にとって、CHEERは両方を研究できるということから興味を惹かれました。

 大学院入学後、私は地球科学と素粒子物理学の両方を勉強するため、地球惑星科学専攻の火山学・地震学等の授業と、物理学専攻の素粒子物理学の授業の両方を受講していました。地震研究所では所内の研究グループの垣根を超えた交流が多いので、CHEER以外のグループの研究に触れる機会も多かったです。CHEERの学生が少なくても地震研究所の同期とは真面目な議論だけでなく他愛もない雑談もしていました。

 研究テーマは、多方向からのミュオグラフィ観測によって山の密度分布を3次元的に求める方法の開発でした。研究内容は、観測に使う検出器のデザインから観測計画の立案、現地観測、取得データの解析方法開発まで、多岐にわたりました。CHEERの研究分野はまだまだ発展途上なので、テーマやアイデア次第で研究プロジェクトの立ち上げから実行まで深くかかわることが出来ます。研究は主にCHEERの先生方とディスカッションしながら進めていました。

 CHEERの研究の特長は、素粒子物理学と地球惑星科学の両方のおもしろさを味わえることです。素粒子を使うことによる「明快さ」と地球科学の観測対象の持つ「複雑さ」の双方を体感することが出来ます。 地球惑星科学から見ると、CHEERでやっていることは他の地球物理観測と本質的に変わりません。地球を調べる方法が異なるだけです。特にミューオン観測は明快に物理量を求められます。 一方、素粒子物理学から見ると、地球惑星科学で扱う対象は非常に複雑で、まだまだ分からないことが多いです。その中でいかにほしい情報を取得するか、あるいは得られた情報をもとにどう解釈するかは腕の見せ所です。

 もし、少しでも興味があるなら、思い切って先生に連絡してみてください。オープンキャンパスでなくてもいつでも構いません。私も入学前、CHEERを含むいろんな研究室を見学しました。新しい学生がくるのを楽しみにしています。