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地震研究所談話会 第831回 (2005年9月)

浅層地下水の突然昇温

佃 為成

 地下の岩盤の亀裂の隙間に潜む水やガスが、強い力を受けると地表付近まで上昇してくるらしい。浅い地下水層に深部の熱い水が突発的に浸入する現象が各地で見つかりました。これは、大きな地震を起こす準備段階にある地殻の活動を示していると考えられます。

 日本付近では、太平洋プレートやフィリピン海プレートが東ないし南東から押し寄せ、ユーラシアプレートに潜り込んでいます。日本の陸地や海域の岩盤は縮みつつあり、岩盤の変形に対し、反発する力、応力も増大しつつあります。

 岩盤には無数の小さな亀裂が入り、元からあった亀裂とつながったりしながら、亀裂群が形成されます。亀裂や岩盤鉱物の間隙には、水やガスが潜んでいますが、圧力を受けた水やガスは亀裂群をパイプのように伝わって移動します。

 とくに、岩盤による圧力が小さい地表付近へ向けて移動、すなわち流体は上昇します。地下深部は高温だから深部の水の温度も高い。熱水が上昇し、地表に顔を出すことになります。このように、地下深い所から地表近くまで上昇してくる水が存在します。下のグラフは地下深部から浸入した熱水によると考えられる水温変化です(静岡県焼津市大富小学校の浅井戸)。

 

 このような現象を1つ1つ調べていって、地下の異常進行状態が刻々わかってくれば、 ひょっとして大地震がくるかもしれないと予測できるかもしれません。 当たらなくても心構えができるだけでも、災害への備えにはなります。

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