2.5.4 比抵抗構造探査

電気比抵抗は,温度,水・メルトなど間隙高電気伝導度物質の存在とそのつながり方,化学組成に敏感な物理量である.これらの岩石の物理的性質は,すべて,その変形・流動特性を規定する重要なファクターであり,比抵抗構造と地震学的諸情報をあわせることで,より詳細かつ正確な情報を抽出し得る.従って,当センターは内外の研究者と協力して,震源域や火山地域スケールおよび列島スケールや周辺大陸縁辺域の比抵抗構造を解明するプロジェクトにおいて,観測法やインヴァージョン手法の開発を含め,中心的な役割を担ってきた(火山噴火予知研究センターや海半球研究センターとの共同研究).

主たる野外調査として,2004-2008年には跡津川断層周辺域の新潟−神戸ひずみ集中帯域で広帯域MT・ネットワークMT観測を実施し(2.5.1.(1-5)参照 (図7)),2011-2013年にかけては,その西側領域にあたる濃尾地震断層域でネットワークMT観測を実施し(2.5.1.(1-1)参照(図2)),ひずみ集中や地震発生の原因がスラブから供給される水である可能性を指摘した.このほか,2009年には有田川非火山性微小地震域(図20)(2.5.1.(1-3)参照),2012年には福島県浜通り地震震源域で広帯域MT観測(図21)(2.5.7.(4)参照)を実施し,地震発生を駆動するメカニズム解明に資する構造を推定してきた.