6.2.3 若手研究員

地震研究所では多様な研究員が研究に従事している(表1).学術振興会( JSPS )特別研究員を毎年2〜6 ,JSPS 外国人特別研究員を3〜7 名受入れているほか,毎年3〜7名のポスドクを公募し,研究所の経費(大学運営費交付金)で地震研特任研究員として雇用している.選考は,研究員等採択委員会が行なう.地震研特任研究員には,助教と同額の研究費を付与して育成している.これらの研究員には,科学研究費補助金に応募する資格を与えることができるので,応募を勧めるととともに,申請書の所内レビューが受けられる制度を設けている.

科研費や文部科学省などからの委託費等によるプロジェクトによっても特任研究員を特定有期雇用職員あるいは特定短時間雇用職員として雇用している.雇用に際しての選考は各プロジェクトで行なうが,研究員等採択委員会もチェック機能を果たしている.これらの研究員は,研究員の雇用制度発足当初(2003 年度)からの5年間に5 から20名以上へと急速に増加したが,2009 年度以降は25 前後でおおむね安定している.外部資金による特任研究員には職務専念義務が課せられているため,外部資金によるプロジェクト以外の研究活動を行うことは困難であり,科研費の応募資格は有しているものの実質的には応募できなかった.そこで,2010年度よりエフォート管理を弾力化し,従来は外部資金100%であったものを90%として残る10%を運営費で負担することにより,科研費申請ができるようにした.雇用が8年以上継続している例もあるが,平均の在職期間はおよそ2年10ヶ月となっている(図1).

また,博士号取得後まもない若手研究者を受け入れる独自の制度として,地震研究所特別研究員制度を設けている.地震研究所特別研究員は無給であるが,研究所内の研究室に机をもち,研究所の施設・設備を利用することができる.これは職に就くまでの間も研究が継続できる一時的なポジションであり,年限は2年である.

本研究所外で雇用されているが,研究所の教員・学生等と密接な共同研究を行っている者には,地震研究所外来研究員として処遇している.これにより所内の研究室に机をもち,様々な施設・設備を利用することができるもので,数週間程度滞在するものも含めると,毎年70 あまりを受け入れている.

研究員は雇用形態が多様であるため,助教のように一律に助言者としてのフォローアップ制度を適用することは困難であるが,研究員の研究環境に問題がある場合の相談窓口として,育成室のメンバーが対応する.