目次へ        次へ

6-7.地殻比抵抗構造の研究

 地震活動や火山活動の活発な地域の地下構造を知ることは,それらの活動の場を把握しメカニズムを理解するために必要である.このような場所で地殻の比抵抗構造を調べることにより,地下の温度や地下水の分布などに関する情報を得ることができる.地震や火山噴火の予知計画では,全国の大学が協力して地殻比抵抗構造探査を実施している.地震研究所は,それらの共同研究の中核的役割を果たすとともに,新しい観測手法や構造の解析手法の開発などを行っている.

 活断層などの地震活動域の構造探査は,地震予知研究推進センターが中心となって進めている.自然の電磁場変動の観測によるMT法の群列観測や,制御された人工的な電磁場を用いた手法などを適用する.特に後者は,ノイズの影響の著しい場所の地殻深部の探査を可能にするために開発した方法である.最近の共同観測は,奥羽脊梁山脈(平成10年度)・出羽丘陵(平成11年度)・日高衝突帯(平成12年度)・伊豆半島東部(平成7,9,10,11,12年度)などにおいて実施された.いくつかの地域では,微小地震が比抵抗構造の境界付近に分布していることや,断層に沿って低比抵抗帯が連続していることを示唆する結果が得られている.

 火山における研究は火山噴火予知研究推進センターおよび地震予知研究推進センターが協力して進めている.最近は,雲仙火山や霧島火山など,九州の火山の構造探査を対象として,火山体浅部の地下水の分布と噴火前兆現象の発現との関係の解明や,マグマ溜りの存在する深さと噴火様式の関連などについて研究がなされている.

図1.地殻比抵抗研究グループによる構造調査域.

 

図2.奥羽脊梁山地,出羽丘陵における広帯域MT観測データの解析によって得られた2次元比抵抗断面.微小地震震源分布(海野他,2000)を丸で示し,S波反射面とP波散乱体の分布(浅野,1998)をそれぞれ四角と星で示している.反射法から推定された地下の断層面(平田他,2000)と岩崎他(1999)による地震波速度構造をあわせて示している.


目次へ        次へ