5-13.特定火山集中総合観測

 

 火山噴火予知計画にもとづき,噴火機構の解明や火山活動評価のための基礎データを取得するために,全国の関連研究者が協力して毎年一か所のテストフィールドで多項目の共同観測や調査を実施している(第6次5か年計画 (1999-2003年度) の対象火山は,岩手山,薩摩硫黄島・口永良部島,雲仙岳,富士山,草津白根山).例えば,雲仙岳では,噴火中に継続していた西山麓を中心とする収縮が,1995年の噴火活動停止以降に再び膨張に転じたことが明らかとなっている.また,1998年から活動が活発化した岩手山では,南山麓における水準測量によりダイク貫入に伴う上下変動が捉えられるなど,活動経過が明らかになった.さらに,2000年に噴火した有珠山および三宅島火山でも,噴火前に実施した集中総合観測によって噴火の前兆過程についての貴重なデータが得られた.特に,三宅島火山では,1990年および1995年に実施したGPS観測によって,山頂南部を中心とする山体膨張が観測されていたが,2000年噴火に伴う収縮変動の中心もほぼ同じ位置に推定され,マグマ溜りの位置が確認された.

 2002年度に実施した富士山集中総合観測では,低周波地震の発生機構および火山体構造を解明するために,関連機関の共同で,やや長期の周辺の既存の観測点を含め100点規模の臨時稠密地震観測を開始した(ハイライト研究4-4富士山の項を参照).また,絶対測定と相対測定を結合したハイブリッド重力観測網の構築や山頂を横断する自然電位分布の測定,MT探査などを実施した.

1.自衛隊東富士演習場に設置したVSATを用いたテレメータ観測点.

トップページへ戻る

次のページへ