5-19. 島弧下プレート沈み込み構造及びそのダイナミクス解明のための深部構造探査

 

2001-2002年に,地震研究所は,海洋科学技術センターと共同で,島弧下プレート沈み込み構造及びそのダイナミクス解明のための深部構造探査を実施した.2001年度は,東海沖から中部地方を横断して日本海沿岸に至る全長480kmの測線において,屈折・広角反射法地震探査を実施した.この探査の海域部は,東海地震想定域を切っている.また,陸域測線の南部においては,この地域に発達する付加体の構造及び中央構造線の深部構造を調べる目的で,米国テキサス大学と共同で400chの反射法地震探査を行った.陸域測線の南部においては,沈み込むプレートからの強い反射波が観測され,同地域のプレート境界及びその物性が明らかになりつつある.一方,測線のやや北側では,島弧地殻内からの反射波が観測された.これらのデータを詳細に解析することによって,プレートの沈み込みと付加体の形成過程,島弧地殻の発達過程に関する新しい知見が得られるものと期待される.

 2002年には,四国・中国域から鳥取沖までの測線において,屈折・広角反射法地震探査を行った(図1).測線長は,海域部が230km, 陸域部が240kmである.海域部では35台の海底地震計が設置され,エアガンによるショットが行われた.日本全国の大学・関係機関の研究者及び米国テキサス大の研究者によって合計2,234チャンネルの観測点が設置され,これまでにない高密度の観測となった.陸域においては合計10点(その内の1点は,千葉大学による)の発破点が設置された.

 四国沖から中国地方南部にかけては,1999年に,地震研究所が海洋科学技術センター・京都大学・鳥取大学・九州大学と共同で地震探査を行っている.2002年実験測線は,この測線の陸域部をほぼ含むように設定された,これによって,両データの総合的解析が可能となり,南海トラフから,西南日本弧を横断し,日本海に至る,沈み込み帯の全体像が明らかになるものと期待される. 

1. 2002年鳥取沖—西南日本横断地殻構造探査測線図.

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