東京大学地震研究所
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2013年度地震研究所
オープンキャンパス/一般公開

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2013年度 オープンキャンパス / 一般公開

10億分の1の重力測定で見えるもの
新谷昌人 観測開発基盤センター准教授

 物理学を勉強すると、世の中には4種類の力(電磁気力、重力、強い力、弱い力)があるということを学ぶ。それらのうち、 「重力」はもっとも日常的になじみ深い力であろう。 坂道や山を上ったり重い荷物を持ち上げたりするとひしひ しと実感され、地球上にわれわれがいられるのも、大気や海 が地表にあるのも重力のおかげである。もうひとつの日常的 な力である電磁気力(磁力や静電気力を含む)と違って、重 力は物体間につねに引力しか働かないので地球のように大 きな物体ではとめどもなく大きい力となり、実際宇宙全体に かかわる重力は宇宙の広がる速さをも左右していると考え られている。それはさておき、逆に重力を調べるとまわりに どのくらい物質(質量)があるかがわかる。実際、地上で重 力を測ると場所や時間で異なっており、たとえば、山の頂上 のほうがふもとよりも重力が小さく、沖縄よりも北海道のほ うが大きく、 干潮よりも満潮のときのほうが小さい。 ただし、大きい/小さいといってもわれわれが感じる重力(9.8 メー トル毎秒毎秒)の数百分の一よりも小さい話で、実感はできない。それで も、精密な重力測定の機械・・・重力計・・・を使うといろいろな情報、とくに地下深いところの 物質がどうなっているか調べることができる。現代の重力計は千分の一どころか、10億分の1の 重力を測ることができる。 私たちの研究グループは最高性能の重力計を作るところからスタートし、 それを使って地震や火山噴火にともなう現象を重力を使ってとらえようと考えている。


図:重力計で使われる落体.真空中でこれを落下させ,加速の様子から重力を精密に計測する.