大学院教育

大学院進学を考えられている皆様へ

地震研究所では、理学の専攻(理学系研究科地球惑星科学専攻)、工学の専攻(工学系研究科社会基盤学専攻、 工学系研究科建築学専攻)、 学際情報学の専攻(学際情報学府学際情報学専攻総合分析情報学コース、 学際情報学府学際情報学専攻先端表現情報学コース)、情報工学の専攻( 情報理工学系研究科数理情報学専攻)に協力して、 大学院教育を実施しています。これらの専攻・コースの大学院生は、 地震研究所の教員を指導教員として選択することが できます。大学院入学試験にについては各専攻・コースのホームページを、地震研究所の担当教員一覧はこちらを参照してください。

2024年春(2月~4月)に大学院に進学を検討している国内の学部生を対象とした、東京大学地震研究所 研究体験プログラムを実施します。詳しくはこちらをご覧ください。

研究所からのメッセージ

地震研究所では、「地球科学」の研究を通じ、我々の住む地球で起こっている現象のしくみを明かにしています。地震・火山現象の表面的な理解だけでなく、その根源となる場の性質や物理・化学過程を明かにし、大きな固体地球システムの1つの側面としてこれらの現象を理解することを目標としています。またこの大局的な理解に基づき、防災・減災という社会に直接資する研究も、理学・工学の融合や、文系・理系の融合を意識しながら遂行しています。

「地球科学」というと縁遠い世界と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さんが学んできた「物理」や「化学」などを用い、地球を調べているにすぎません。ですから、学部時代から地球科学を志していた方だけでなく、数学・物理・化学・情報科学など、他分野を専攻された方々が進学してくれることを、心から望んでいます。

現在、地震研究所では、大規模観測や観測技術開発など、以前から定評がある研究分野をさらに推し進めるとともに、異分野との融合による新たな地球科学の創出に力を入れています。レーザー技術を応用した地殻変動観測、高エネルギー素粒子を用いた地球内部透視技術の開発、先端的な情報処理技術を活用した地震波形解析システムの構築などは、これらの取組の例です。歴史学者から建築学者まで、幅広い分野の研究者が集まり、地球科学の枠組を広げるように努力を続けています。皆さんの常識にとらわれない発想により、また新たな分野が切り拓かれることを、大いに期待しています。

地震研究所に興味を持たれた方は、 ぜひ一般公開や入試ガイダンスなどに参加して、我々の研究を間近で見てください。若い力が注入されることを、心からお待ちしております。

地震研究所で行われている主な研究

地球の中を診る、調べる
地球内部を「診る」ことは、地震・火山活動やより深部での活動を研究する上での基礎となります。地球の中を直接覗くことはできないため、地震波や電磁波などを用いて調べます。近年、地震や電磁気の観測網が高密度に整備され、地球の内部をこれまでにない高解像度で診ることができるようになり、地球内部への理解が急速に進んでいます。観測点のない海域へ設置する海底地震計の開発や、インバージョン法の研究、地震波速度や電気伝導度で見える地球内部の不均質構造から有用な情報を引き出すための岩石物性の研究などが行われています。
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地球内部ダイナミクス
地震発生や火山噴火などの個々の現象は、もっと大きな地球のダイナミクスの一部として捉えることができます。地球全体の活動の解明を目指して、マントル対流のシミュレーションや、高温高圧実験、放射性元素や微量元素を用いた地球内部の物質循環の研究、などが行われています。岩石の物性には未知の部分が多く、鉱物粒界のようなナノスケールの物理化学特性の解明が、マクロスケールの現象の理解を大きく変えてしまう可能性があります。
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地震発生のメカニズム
GPSや海底歪み計を用いた地殻変動観測によりひずみの蓄積過程を調べ、地震発生予測につなげることを目指しています。また、発生した地震の震源過程は、地震波、津波、地殻変動、余震分布、重力変動など、地震に伴う様々な現象を観測して多面的に解析されます。そして、断層破壊の室内実験・粒子モデルシミュレーションの結果や地震波の発生と伝播のシミュレーションなどと合わせて、地震発生のメカニズムを明らかにすることを目指しています。
火山噴火のメカニズム
地球内部におけるマグマの発生と上昇は、地球の進化をもたらす重要なプロセスです。また火山噴火は、マグマの発泡や破砕などを伴い、固体、液体、気体がすべて関与するダイナミックな現象です。火山学は、地球物理学と岩石・地質学の両方の側面を持った複合的分野で、地震研究所では、噴火現象の観測やモデリング、マグマの移動や火山性地震の観測、噴出物の分析など、様々な側面から火山現象の解明を進めています。
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新しい観測のための機器開発
地球科学では、新しい観測が様々なブレークスルーをもたらしてきました。地震研究所では、海底地震計、レーザー干渉ひずみ計、宇宙線ミューオンを用いた火山体内部のイメージング、低周波微小振幅変形実験装置など、独自の技術を開発して新しい観測を行なっています。
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防災・減災のための工学
地震研究所では、「地球科学」の成果を利用して、防災・減災のための「地震工学」の研究も進めています。地盤を揺らす地震動や建物の揺れを観測・実験し、地震による被害を無くすようにする研究です。スパコンを使って都市全体での地震シミュレーションの開発も「地震工学」の研究です。最先端の計算科学とタイアップした数理科学・社会科学のシミュレーションの研究も行われています。地震研究所は、防災・減災の最先端研究の場でもあるのです。

地震研究所の研究を詳しく知るためには

学部学生にお薦めの入門書

地震・プレート・陸と海―地学入門 岩波ジュニア新書 深尾良夫著

留学生の方へ

地震研究所では、国内外から地震・火山・津波・地球内部物理に関わる分野での研究をしに修士・博士の学生が多数訪れております。
特に海外からの留学生に向けた情報を簡単にまとめた案内が作成されました。主に学会会場などで配布されておりますが、こちらからダウンロードすることも可能です。

Information on studying in ERI 2017 (pdf 2.25M)
TBA for 2023

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