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2005年度AO3班 班会議

日時:2005年9月28日13:00から
場所:筑波大学 第三学群 E棟 3E301号室

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 会議進行 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

13:00-14:30
  阿部  ・可視化高圧衝撃波管実験装置の解説
      ・実験装置見学および実演
 
14:20-14:30
  小屋口 事務報告
 
14:30-18:00
  亀田       ・実験進捗状況
 
  大西(大橋研助手)・数値計算進捗状況
 
  田中       ・数値計算進捗状況
 
  小屋口      ・火山と実験の比較のための算段など
 
  津田(高木研学生)・数値計算進捗状況
 
  伊藤       ・並列計算機購入進展状況
           ・数値計算進捗状況
 
  総合討論     ・勉強会の予定など
            2005年 班内部勉強会
 
 
井田(欠席)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 概要報告 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・阿部
「気泡の析出や相変化の影響」に焦点を当てた衝撃波管実験装置について、
初期実験装置の成果の概説および新規実験装置の現状の解説が行われた。

(装置解説&実演風景)
実演ではシリコンオイル+アセトンの2成分系が行われた。
高圧部と低圧部を隔てる隔膜の破壊とともに、高圧部にあった溶液中から
気泡がいたるところで発生し、膨張しながら上昇流によって変形していく様子が
観察された。
今後の方針として、小屋口のほうから、最初の減圧波が伝播していくときの
詳細な様子から定量的なデータが取れれば、いま進めているマグマにおける
衝撃波問題の理論的研究と比較できそうだ、との提案があった。


・亀田
高粘度気液二相流を用いた衝撃波管実験装置についての現状が紹介された。
試料の注入部分の改良や、試料として用いる物質の材料再選定について解説があった。
今後、水あめを用いる事で高粘性、高剛性、高空隙率の気液混合試料を初期物質と
して用意できるとの事だった。
ここで、急減圧による溶液の破砕現象を観察するために、物質の剛性がどのように
影響するのかを一度考察すべきだと指摘された。


・大西(大橋研)
粘弾性体を扱える格子ボルツマン法について、これまでの計算成果をおさらい
として紹介された。
2個以上の気泡合体の問題では、実際の現象と比較する際に、不純物の影響が
大きくて難しいと指摘された一方で、不純物の濃度などを正確に制御した実験を
おこなうことで、数値計算と比較できるのではないかとの指摘もあった。
また、気泡の分裂と合体の2つのプロセスについては、後者のプロセスの方が
マグマの発泡から気泡成長の段階の再現において重要だとの指摘があった。


・田中
離散粒子法(DEM)と連続流体力学計算(CFD)のカップリングによるDEM-CFD数値計算の
現状が紹介された。
異なるサイズの粒子を混合した場合の流動層問題では、下からのガス吹き上げの
流動化によって、小さい粒子が上部へたまる現象が紹介された。
火砕流は高温の熱源である粒子と周囲の大気との相互作用が重要であるため、
粒子とガスの力学的な相互作用だけでなく、熱伝達のモデル化が重要な課題で
あることが認識されていたが、これまでの取り組みの成果が紹介された。


・小屋口
プロジェクトの後半に重点的に取り組むべき課題が示された。
1つには、各分担者の素過程に関する研究成果を、有機的にまとめて火山現象と
結びつけることの重要性の指摘があり、その作業を井田、小屋口で分担する事。
2つ目には本領域全体で取り組むべき課題の1つとして挙げられている「噴火
シミュレータに向けて」のデータベース構築の素案の紹介、および作業に取り
組むための来年度の人員補強の提案。
分担者間の連係を保つためには、最小限の素過程だけを取り込んだリファレンス
モデル構築の作業が進んでいるので、各自の研究がそのモデルに対してどのような
寄与(モデルのパラメータ修正や結果の定性的修正など)が出来るのかを考慮して
進めてほしいとの要請があった。


・津田(高木研)
分子動力学にもとづいた数値計算(MD法)によって、静止流体中の気泡成長に
対する「気泡の析出や相変化の影響」の研究の進捗状況が紹介された。
現在の計算結果の範囲では、1成分系と多成分系とではそれぞれ、オストワルド
ライプニング的な気泡成長と、合体による成長といった、異なる成長プロセスが
見られている。
平均気泡半径の時間変化だけではこの2つの成長の差は顕著には見えないが、
気泡サイズと気泡数のそれぞれの時間変化を比較すると違いが顕著であることが
紹介された。
サイズ分布との関係での詳細な議論を行いたいと指摘があった。


・伊藤
まず、A03班で購入計画が進められてきた並列計算機について紹介があった。
つぎにMD法による核形成の数値計算結果から、界面に厚さが存在する事の影響が
指摘された。
古典的核形成理論ではそもそも、核の界面は厚さを無視したところから出発している。
実際には核の臨界半径が小さいほど核生成初期の界面の厚さの影響は大きく、
核生成率を数桁変えるほどの影響があるらしい。
高粘性マグマでは臨界角が小さいため、この問題が無視できない可能性がある
との指摘があった。