(1) 課題番号 (新規の場合は，「新規」とする) ０１１３
(2) 実施機関名：地震研究所
(3) 課題名：精密制御震源（アクロス）
III．計画の内容 １．地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進 (３) 直前過程における地殻活動
(5)「3. 具体的な課題提案の背景」の項目：
イ. 前駆現象検出のための試験観測
平成12年に地震予知研究協議会がまとめた、「平成12年度全体計画骨子の補足説明」
（https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/YOTIKYO/ex/12kenkyukeikaku/H12Plan/12final.htm ）
の「3. 具体的な課題提案の背景」の項目」どの項目に対応する課題かを、明記してください。もし、対応する項目が無い場合には、対応なしとしてください。
アクロスは，非弾性変形を高分解能で検出することを狙っているので，以下のように，全体計画に関連するところは多い。残念ながら現状では，テストサイトでの試験に留まっているが，そろそろフィールドを意識した研究開発が必要と認識しているので，平成１５年度はニーズ調査あるいは応用の対象の調査としてそれぞれの分野の研究の調査を進める考えである。
(1)-1．広域応力場の不均質性
実験から得られるミクロな変形特性と，GPS等から得られるマクロな変形特性との橋渡しを行うために，不均質構造の推定によってクラックや地殻流体等の分布を調べることが重要となる．
(1)-3-1. 地殻・最上部マントルの変形特性
下部地殻の変形機構として，塑性流動や粘弾性変形などが考えられている．また，変形が広域に起こっているのか，あるいは狭い領域に集中しているのかという,変形の集中度の問題がある．
(1)-3-2. 下部地殻の変形の集中度
媒質の変形の集中度の推定には，地震波の反射・散乱などの解析が有効である．地震波反射面は重要なターゲットである．反射面が単なるインピーダンスコントラストではなく，実際にすべりが起こっている面かどうか明らかにすることも重要である．
(3)-2-2. 変形特性の空間分布
歪集中帯とそうでない地域の変形特性に違いがあるかを評価し，もし相違があるならば，その原因を推定することが重要である．このためには，応力の空間分布，地震波速度・減衰構造や散乱体分布，比抵抗構造等と歪速度分布の対応関係を明らかにすることが有効である．
(4)-1. 地殻流体の実体の解明
地殻流体の分布や挙動は，ほとんど分かっていないので，重力・地震・電磁気・地殻変動など多様な手法を総合して，深部の流体の実体を捉える手法の開発が必要である．特に重要なフィールドは，群発地震に先立つ前兆的地殻変動が観測されている伊東沖である．地殻流体の挙動の実測を試み，群発地震とその前兆的変動の生成を説明できる数値モデルを開発することが重要
(4)-2. 断層面の破壊強度に対する地殻流体の役割
断層帯における高圧水や，深部からの熱水の移動による化学反応などが重要なテーマであり，観測・実験・シミュレーションなどにより，よく分かっていない地殻流体と地震発生の関係の解明を試みることが重要
(4)-3-1. 下部地殻
下部地殻の変形特性に対する地殻流体の役割を，観測や実験から明らかにすることが重要
(4)-3-2. 上部地殻
上部地殻における地殻流体の空間分布と，応力場や歪速度場，あるいは地震活動との関係を明らかにすることが重要
(5)-4. 応力・強度分布推定法の開発
応力分布推定のためには，応力測定や微小地震の応力降下量の研究が重要
(6) 関連する建議の項目
III．計画の内容 ３．地殻活動シミュレーション手法と観測技術の開発 (２) 観測技術 ウ. 地殻深部における計測技術の開発と高度化
(7) 平成14年度までの研究成果の概要
精密制御震源システムの製作と試験として，
・精密人工震源小型試作機(やよい1号)の製作と室内試験(完了)
・実証試験用機(やよい2号)設計製作とフィールド展開(稼動中)
・岩石標本の室内散乱実験(中断)
・弾性波シミュレーションによる性能評価(完了)
・試験サイト(山梨県東部地震域北方25kmで深度600ｍの大規模地下坑道)の地球科学計測(完了)
・坑道内光ケーブルを利用した直達波による速度トモグラフィ(設置は完了)
・波動トモグラフィのインバージョン手法の開発(継続中)
・実証試験用機(やよい3号)のフィールド展開(設置完了。調整中)
(8) 平成15年度計画の概要
・震源やよい2号の性能改良(定着デバイスの設計変更)
・震源やよい3号の試験，特にフェイズドアレイ試験
・坑道内光ケーブルを利用した直達波による速度トモグラフィの実施
(9) 5ヶ年の到達目標に対する平成15年度の計画の位置づけ
射程600ｍ程度の高分解能トモグラフィを継続して，所要の
(10)この計画の実施担当連絡者
氏名：東原紘道
電話：03-5841-8268
FAX：03-5841-5787
e-mail：higashi@eri.u-tokyo.ac.jp