課題番号:1403
東京大学地震研究所
東南海・南海地域および日本海溝・千島海溝周辺の地殻活動モニタリングの高度化
東南海・南海地域および日本海溝・千島海溝周辺では、文部科学省委託研究「東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究」により、より詳細な地震活動が明らかになっている。また、東南海・南海地域では陸域観測網のデータを用いて低周波地震や微動の活動が報告されている。本研究計画は、東南海・南海地域および日本海溝・千島海溝周辺において、広帯域海底地震観測により、地殻活動を明らかにし、より詳細かつ定量的な活動の把握と評価を行うことができるよう,モニタリングの高度化を進める。
東南海・南海地域においては、平成20年に開始した文部科学省委託研究「東海・東南海・南海地震の連動性評価のための調査観測・研究」と連携して、研究を行う。日本海溝・千島海溝周辺では、同様に他の研究計画との連携を図る。
東南海・南海地域
平成21年度においては,平成20年12月に、紀伊半島沖において構築されている3台の広帯域海底地震計と5台の長期観測型海底地震計による海底地震観測網を用いた観測を継続し,海底地震計を回収し、解析を行う。また、海底広帯域地震観測を継続する。この観測は,平成24年度まで,毎年回収・再設置を実施し,平成24年度中に観測を完了する。さらに平成25年度中に地殻活動の把握と評価を行う。
日本海溝・千島海溝周辺
平成21年度においては,房総沖で、40台規模の長期海底地震観測を開始する。平成22年度においては、平成21年度に,房総沖に設置された海底地震計を回収し、解析を開始する。また、平成23年度以降も、引き続き、長期広帯域海底地震観測を実施する。
東南海・南海地域
平成21年度は,平成20年12月に,紀伊半島沖に構築した3台の広帯域海底地震計と6台の長期観測型海底地震計を用いた海底地震観測網による観測を継続し,平成21年11月に全台の海底地震計を回収し,観測を終了した(図1)。本年度に回収されたデータは現在解析中であるが,広帯域型海底地震計の波形記録を見ると,南海トラフ沿いで発生していると考えられる,低周波成分が顕著に励起された超低周波地震と考えられる地震波形が見られる(図2)。また,平成21年11月に,広帯域海底地震計3台と長期観測型海底地震計5台を用いた海底地震観測を紀伊水道沖の海域で開始し,現在継続中である(図1)。
日本海溝・千島海溝周辺
平成21年度は、房総沖で40台規模の長期型海底地震計を用いた海底地震観測を開始した。
平成22年度は東南海・南海および房総沖に設置された長期観測型海底地震計を用いた海底地震観測を継続し,海底地震計を回収し,解析を行う予定である。
篠原雅尚・金沢敏彦・塩原 肇・望月公廣・山田知朗
無