課題番号:2907

平成21年度年次報告

(1)実施機関名

公募研究

(2)研究課題(または観測項目)名

花崗岩のトランジェントな載荷・除荷に伴って生成される電場・磁場の観測

(3)最も関連の深い建議の項目

    • 2.地震・火山現象解明のための観測研究の推進
      • (3)地震発生先行・破壊過程と火山噴火過程
      • (3-1)地震発生先行過程
        • ア.観測データによる先行現象の評価

(4)その他関連する建議の項目

  • 2.地震・火山現象解明のための観測研究の推進
    • (3)地震発生先行・破壊過程と火山噴火過程
    • (3-1)地震発生先行過程
      • イ.先行現象の発生機構の解明

(5)本課題の5か年の到達目標

(本課題は平成21年度公募研究である)

(6)本課題の5か年計画の概要

(平成21年度公募研究計画)
岩石,特に圧電結晶である石英をふくむ花崗岩の破壊時発光や電磁波放射(広義にはサイスミックな発光・電磁波放射もふくむ)は,岩石中にチャージされた電荷がクラックや断層によって分離されてダイポ‐ルを形成し,それが放電にいたって発生する可能性がもつとも高いが,このプロセスは完全に解明されたとはいいがたい.
本研究では,花崗岩試料のトランジェントな載荷・除荷おこない,試料表面にそって非接触で電極アレーを設置し,岩石内部に生じる電荷が誘起する電場を差動アンプで測定し,試料表面の電位分布と発光位置の関係を調べる。さらに,生成された電場が解消するときには,電流(実電流・変位電流)が流れて磁場が生成する可能性がたかい.しかしながら,この磁場はきわめて微弱で観測にかかったことはない。本研究では,近年フラックスゲートを越える感度を達成した高感度MIセンサーをアレーとして配置し微弱な磁場の定量的検出にも挑戦する.

(7)平成21年度成果の概要

岩石,特に圧電結晶である石英を含む花崗岩を弾性波が透過するとき,電磁波放射が生じるかどうかを確認するために,磁場と電場の同時計測を行った(当初はMIセンサーを使用する予定であったがここでは高感度コイルを使用).図は弾性波の透過にともなって検出された磁場と電場の局所的じょう乱である.この結果,弾性波により石英が載荷され,圧電効果によって電荷が分離されて電気的ダイポールが形成され,ダイナミックな時間的変化により,変位電流が流れて磁場も生成されるプロセスであることが確かめられた.

(8)平成21年度の成果に関連の深いもので、平成21年度に公表された主な成果物(論文・報告書等)

    (9)平成22年度実施計画の概要

    ひきつづき花崗岩試料のトランジェントな載荷・除荷実験をおこない,試料表面にそって非接触の電極アレイを設置し電場を,MIセンサー・アレイを併設して磁場も観測して,岩石内部に生じる電荷が誘起する試料表面の電場および磁場分布と石英分布の関係を調べ、岩石破壊と電磁波励起の関係をより定性的に解明する.特に,電磁波放射の理論から磁場と電場の直交性が強く示唆されるが,この予想が実験的に正しいかどうかに重きをおく.

    (10)実施機関の参加者氏名または部署等名

    京都大学 防災研究所 柳谷 俊、加納靖之

    他機関との共同研究の有無

    京都産業大学 筒井 稔

    (11)問い合わせ先

    • 部署名等
    • 電話
    • e-mail
    • URL


    実験のようす.(a)花崗岩サンプル,(b)電極アレイ,(c)ガラス.ガラスの破壊により花崗岩サンプル内に弾性波を励起する.


    弾性波の透過にともなって検出された磁場と電場の局所的じょう乱