課題番号:3006
(独)防災科学技術研究所
噴火予測システムの開発
今後新たに整備される基盤的な火山観測施設から得られるリアルタイムデータおよび他の観測項目のデータベースに、異常変動を自動で検出し、変動源モデルを自動推定する手法を適用するとともに手法の更なる高度化を行う。また、異常変動の自動検出を噴火予測に結びつけるため,迅速な判断、評価および他のデータ処理と連携することを目的とした可視化ツール等のユーザーインターフェースの開発を行う。
平成21年度は、異常変動を自動で検出し、変動源モデルを自動推定する手法を富士山、伊豆大島、三宅島の火山活動観測網のリアルタイムデータに適用しモニタリングを行うとともに、過去の観測データに適用して信頼性の検証実験を行う。
平成22年度は、平成21年度に火山観測施設が整備される有珠山、岩手山、浅間山、阿蘇山、霧島山について、同手法によるモニタリングを行うとともに、個々の火山の特性や活動履歴等に基づいた手法を取り入れるなど手法の更なる高度化を行う。
平成23年度以降は、その後に整備される火山観測施設について同手法の適用を順次行うとともに、迅速な判断、評価および他のデータ処理を行うための可視化ツール等のユーザーインターフェースの開発を行う。
異常変動を自動で検出し、変動源モデルを自動推定する手法を富士山、伊豆大島、三宅島の火山活動観測網と伊豆半島東部の高感度地震観測網のリアルタイムデータに適用しモニタリングを行い、さらに過去の観測データに適用して信頼性の検証実験を行った。その結果、2009年12月に伊豆半島東方沖で発生した群発地震活動に伴う傾斜変動を自動で検知することに成功し、この手法の有効性を確認した。手動による解析により、この傾斜変動が群発地震活動域に貫入した岩脈モデルにより説明可能であることを確認した。しかし、地震動による傾斜計のステップ変動の影響を自動で除去できなかったため、この岩脈モデルを自動で推定することはできず、課題が明らかとなった。
平成21年度に火山観測施設が整備される有珠山、岩手山、浅間山、阿蘇山、霧島山について、同手法によるモニタリングを行う。傾斜計の地震動によるステップ変動や降雨による変動と火山性の異常変動との区別等、平成21年度までに明らかとなった課題を改善するとともに、個々の火山の特性や活動履歴等に基づいた手法を取り入れるなど手法の更なる高度化を行う。
防災科学技術研究所 火山防災研究部、地震研究部
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