課題番号:3010
(独)防災科学技術研究所
南海トラフ巨大地震発生による富士山噴火連動評価に関する研究
発生が懸念される東海・東南海・南海地震と連動した富士山の噴火可能性の定量的評価を行う。想定される地震のケースに応じて、富士山周辺の応力・歪み場変化および地震動をシミュレーションにより定量的に評価する。これをもとに、富士山の深部・浅部マグマたまりに与える擾乱を仮定し、マグマの状態に応じて、増圧・減圧によるマグマの搾り出し、発泡核の形成、発泡と膨張、マグマの破砕といった噴火機構についてシミュレーションおよび実験により検証する。
平成21年度は、プレートの運動および巨大地震による富士山周辺影響評価について、地震の複数ケースを想定するとともに、富士山周辺の構造を鑑みた応力シミュレーションに着手する。マグマ上昇過程シミュレーションに着手する。特にマグマ上昇に伴う減圧発泡効果に関する定量シミュレーションを実施する。噴火機構シミュレーション検証実験に着手する。
平成22年度は、プレート運動と深部マグマ溜りの相互作用評価、破壊過程の定量的検討、マルチスケール計算手法の検討、および、気泡核生成~発泡~膨張シミュレーションを行う。
平成23年度は、プレート運動と浅部マグマ溜りの相互作用評価、プレート運動の影響による岩脈貫入シミュレーション、および、気泡変形・合体シミュレーションを行う。
平成24年度は、プレート運動へのフィードバック評価、プレート運動の影響による岩脈貫入シミュレーション、および、圧力擾乱による気液二相流挙動シミュレーションを行う。
平成25年度は総合評価を行う。
南海トラフ巨大地震による富士山周辺影響評価のため、対象領域を有限要素法による解析方法を検
討した。特に1.要素の種類(4、6面体要素など)とその組み合わせの選択方法の検討、2.断層面の形状の柔軟な組み入れ方の検討、3.地球内部構造の適切な組み入れ方の検討、4.領域外部からの影響を回避するように境界条件を設定する方法の検討、5.要求される精度に見合う要素数の見積り、6.従来の研究事例との整合性の検証を行った。また、地震-火山の連動現象についての包括的なレビュー(連動事例のデータベース化、連動をもたらすメカニズムの整理)を行うとともに、火道内における気液二相マグマの上昇過程の数値的・解析的研究を実施し、地震波などによって誘発されるマグマ溜りの増圧後,マグマがマグマ溜りから地表まで火道内を流れて噴火に至るまでの過程を,混相流モデルを用いた解析を行った。特に,噴火の推移予測に直結する火道内のマグマ発泡度分布の変化を支配するメカニズムを詳細に明らかにした.また、間欠泉のアナログ実験を基に,振動-発泡現象の計測が可能な実験システムの検討に着手した。
プレートの運動および巨大地震による富士山周辺影響評価について、富士山周辺の構造を鑑みた応
力シミュレーションを行う。また、マグマ上昇過程シミュレーションに着手し、特にマグマ上昇に伴
う減圧発泡効果に関する定量シミュレーションを実施する。さらに、噴火機構シミュレーション検証
実験を行う。
防災科学技術研究所 火山防災研究部、地震研究部
有
東京大学地震研究所・九州大学