課題番号:3018
(独)防災科学技術研究所
火山活動把握のためのリモートセンシング技術活用
航空機リモートセンシング技術を用いて、熱的活動、火山ガス等の火山体表面状態の計測を実施し、火山活動を評価する技術を開発する。火山活動が活発化した場合には、対象火山について同技術を活用した観測を行う。さらに、これらより得た、火山体表面状態の基本情報を整備する。また、噴煙監視や火山放出物把握のために、レーダーなどを用いた計測技術を開発する。
当所の航空機搭載型超多波長スキャナ:ARTSを活用し、平常時の火山体表面状態の計測を実施し、熱的活動、火山ガス等の火山活動を評価する技術を開発する。また活動が活発化した火山に対する観測も適宜実施する。これらから得た火山体表面状態の基本情報をデータベースなどとして整備する。また現業レーダーなどによる噴煙観測データの収集、解析を行い、レーダーなどを用いた計測技術を開発する。
平成21年度は、ARTSによる火山体表面状態の計測を実施するとともに、火山ガス濃度分布把握技術の開発を行う。また現業レーダーがとらえた2008年の桜島の噴火事例について、火山噴出物の時間変化、空間分布の定量的な評価を試みる。
平成22年度以降は、ARTSによる火山体表面状態の計測を実施するとともに、火山ガス濃度を通常の観測項目化することの実現、ARTSの超多波長情報を活用した観測精度の改善手法の検討、ARTSの多波長データで実現できる新規な観測項目に関するとりまとめ、火山体表面状態に関する基本情報のデータベース化手法の検討およびデータベースのプロトタイプの完成、などを実施する。また現業レーダーのデータについて噴煙観測データの収集、解析を継続的に行うとともに、可能であればMPレーダー化された現業レーダーのデータを解析する。さらに、噴煙監視レーダーのプロトタイプ実現に関する基礎的なとりまとめを行う。
航空機リモートセンシング技術
ARTSのオーバーホールと再較正(4年ごと実施する特別保守)を8月~2月に実施、完了した。平成21年度の火山観測は、2010年3月に実施する。観測予定火山は浅間山と三宅島である。また、火山ガス濃度分布把握技術の開発として、2008年に取得した桜島の赤外多波長観測データ(8000~11500nmを110nmの半値幅で等間隔に32bandで観測したデータ)を解析し、A火口及び昭和火口付近の二酸化硫黄ガス濃度分布を推定する手法を開発した。推定された濃度は数ppmv~数十ppmvであり、その分布は、火口付近でのみ計測できた。現在、開発した手法の精度検証を実施中である。以上より、概ね当初の計画を遂行できた。
レーダーを用いた計測技術
新たに2009年桜島の噴火事例について、国土交通省Xバンド降雨レーダーのデータを収集した(計3事例、2008年と合わせて計12事例)。これらの現業レーダーがとらえた桜島の噴火事例について、火山噴出物の時間変化、空間分布の定量的(降水強度換算)評価を行うためのデータ解析、表示プログラムを開発した。その結果、複数の観測事例について火山噴出物の時間変化、空間分布の評価ができた。以上より、概ね当初の計画を遂行できた。
航空機リモートセンシング技術
ARTSによる火山体表面状態の計測を実施するとともに、火山ガス濃度を通常の観測項目化することを実現する。また、火山体表面状態に関する基本情報のデータベース化手法を検討する。
レーダーを用いた計測技術
現業レーダーのデータについて噴煙観測データの収集、解析を継続的に行う。また2011年度から試験運用される国交省桜島MPレーダの有効性について検討する。
防災科学技術研究所 火山防災研究部、水・土砂防災研究部
有
宇宙航空研究開発機構、国土交通省などの協力を得て実施。