課題番号:6016
国土地理院
火山地殻変動モデリング
GPS、水準測量等の地殻変動解析からマグマ供給系を含む火山体の構造、状態及びそれらの時間的変化を明らかにし、マグマの上昇や蓄積を把握する。
特定の火山地域でのGPS連続観測、水準測量等のデータを解析し、地殻変動の時・空間変化を把握する技術を開発する。これらを基に、マグマ供給系の状態及びその時間的変化を推定する技術を開発し、特定の火山地域に適用し、地下のマグマの状態を明らかにする。このような解析の事例研究を通して、火山活動に関する法則性を分析する。
GPS観測により、1996年から伊豆大島火山地域の変動が毎日検出されている。1986年には、伊豆大島火山の最後の噴火が起きている。1996年以降の伊豆大島の地殻変動データから、伊豆大島の地下深部にマグマ溜まりが存在し、膨張・収縮が起きていると考えられている。本研究では地下のマグマ溜まりを1つと仮定して、毎日の地殻変動データから、マグマ溜まりの毎日の体積変化を推定した。その結果伊豆大島では、膨張・収縮を繰り返しながら、2004-2009年間で約1100万立法メートルの体積膨張が起きていることが推定された。また桜島に関しても同様な解析を行い、姶良カルデラの地下のマグマ溜まりに2004-2009年間で約3500万立法メートルのマグマの集積が推定され、桜島の直下のマグマ溜まりの体積変化はあまり大きくないという結果が得られた。
伊豆大島のマグマ溜まりは、膨張期と収集期で異なる2つの茂木ソースがあると提唱されている。今後はそのようなモデルも作成していく予定である。
また今後も、日本の各火山地域のうちモデル化できるものを取り上げ、その地域の力源モデルの時間変化を推定していく予定。
地理地殻活動研究センター 地殻変動研究室
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