課題番号:6016

平成21年度年次報告

(1)実施機関名

国土地理院

(2)研究課題(または観測項目)名

火山地殻変動モデリング

(3)最も関連の深い建議の項目

    • 2.地震・火山現象解明のための観測研究の推進
      • (2)地震・火山噴火に至る準備過程
      • (2-2)火山噴火準備過程
        • ア.マグマ上昇・蓄積過程

(4)その他関連する建議の項目

  • 1.地震・火山現象予測のための観測研究の推進
    • (1)地震・火山現象のモニタリングシステムの高度化
      • ア.日本列島域
      • イ.地震発生・火山噴火の可能性の高い地域
    • (2)地震・火山現象に関する予測システムの構築
    • (2-2)火山噴火予測システム
      • ア.噴火シナリオの作成

(5)本課題の5か年の到達目標

GPS、水準測量等の地殻変動解析からマグマ供給系を含む火山体の構造、状態及びそれらの時間的変化を明らかにし、マグマの上昇や蓄積を把握する。

(6)本課題の5か年計画の概要

 特定の火山地域でのGPS連続観測、水準測量等のデータを解析し、地殻変動の時・空間変化を把握する技術を開発する。これらを基に、マグマ供給系の状態及びその時間的変化を推定する技術を開発し、特定の火山地域に適用し、地下のマグマの状態を明らかにする。このような解析の事例研究を通して、火山活動に関する法則性を分析する。

(7)平成21年度成果の概要

 GPS観測により、1996年から伊豆大島火山地域の変動が毎日検出されている。1986年には、伊豆大島火山の最後の噴火が起きている。1996年以降の伊豆大島の地殻変動データから、伊豆大島の地下深部にマグマ溜まりが存在し、膨張・収縮が起きていると考えられている。本研究では地下のマグマ溜まりを1つと仮定して、毎日の地殻変動データから、マグマ溜まりの毎日の体積変化を推定した。その結果伊豆大島では、膨張・収縮を繰り返しながら、2004-2009年間で約1100万立法メートルの体積膨張が起きていることが推定された。また桜島に関しても同様な解析を行い、姶良カルデラの地下のマグマ溜まりに2004-2009年間で約3500万立法メートルのマグマの集積が推定され、桜島の直下のマグマ溜まりの体積変化はあまり大きくないという結果が得られた。

(8)平成21年度の成果に関連の深いもので、平成21年度に公表された主な成果物(論文・報告書等)

  • 国土地理院,2010, 伊豆大島の変動源の推定について,第115回火山噴火予知連絡会資料,33-34.

(9)平成22年度実施計画の概要

 伊豆大島のマグマ溜まりは、膨張期と収集期で異なる2つの茂木ソースがあると提唱されている。今後はそのようなモデルも作成していく予定である。
 また今後も、日本の各火山地域のうちモデル化できるものを取り上げ、その地域の力源モデルの時間変化を推定していく予定。

(10)実施機関の参加者氏名または部署等名

地理地殻活動研究センター 地殻変動研究室

他機関との共同研究の有無

(11)問い合わせ先

  • 部署名等
    地理地殻活動研究センター 研究管理課
  • 電話
    029-864-5954
  • e-mail
    eiss@gsi.go.jp
  • URL


伊豆大島のGPS観測局と茂木ソースの位置
茂木ソースの深さは6km

伊豆大島の茂木ソースの体積変化
膨張、収縮を繰り返しながら長期的に見て膨張が起きている