課題番号:6018

平成21年度年次報告

(1)実施機関名

国土地理院

(2)研究課題(または観測項目)名

SAR解析技術の高度化

(3)最も関連の深い建議の項目

    • 3.新たな観測技術の開発
      • (2)宇宙技術等の利用の高度化
        • ア.宇宙測地技術

(4)その他関連する建議の項目

  • 1.地震・火山現象予測のための観測研究の推進
    • (1)地震・火山現象のモニタリングシステムの高度化
      • ア.日本列島域
      • イ.地震発生・火山噴火の可能性の高い地域
  • 2.地震・火山現象解明のための観測研究の推進
    • (2)地震・火山噴火に至る準備過程
    • (2-2)火山噴火準備過程
      • ア.マグマ上昇・蓄積過程

(5)本課題の5か年の到達目標

「だいち」等による衛星SAR干渉解析による地殻変動把握技術の高度化のため,永続散乱体干渉手法,GPS等との統合解析手法,大気伝播誤差補正手法及び干渉データの位相連続化手法の拡張や改良を進める。

(6)本課題の5か年計画の概要

 平成21年度においては、「だいち」GPSデータを用いた軌道解析を行い、干渉SAR解析による評価を通じて地盤変動抽出のために最適化された軌道推定技術を確立する。
 平成21~22年度においては、気象モデルを用いた水蒸気位相遅延補正手法、高解像度に適合した位相連続化手法を開発し、SAR干渉画像の高精度化・変動量解析の迅速化を図る。
 現地での観測、調査が困難な海外の地震等のイベントが生じた場合に、SAR、光学センサ等の衛星リモセンデータに基づき、地殻変動や地形の変化等を抽出し、断層モデル等を作成して地震像を明らかにする。

(7)平成21年度成果の概要

 数値気象モデルを構築する計算ソフトウェアの設計・開発を行い、気象データを用いた水蒸気位相遅延量計算の解析環境を整備した。対話型の位相連続化処理ソフトを改造し、ハイチ地震などの実データを用いた試用・検証等を行った。SAR干渉法を用いて、スマトラ島南部の地震(2009/10/1,M6.6)、ハイチ地震(2010/1/12,M7.0)に伴う地殻変動を検出した。ハイチ地震に関して震源断層モデルを構築した。(地殻変動研究室)

 「だいち」GPSデータを用いた軌道決定を実施した。また、推定された軌道を用いて干渉SAR解析を行うことにより,軌道推定手法の最適化を行った。(宇宙測地研究室)

(8)平成21年度の成果に関連の深いもので、平成21年度に公表された主な成果物(論文・報告書等)

  • 小林知勝・飛田幹男・今給黎哲郎・矢来博司・雨貝知美・鈴木啓・森下遊,2009,2009年9月30日スマトラ島パダン沖で発生した地震におけるSAR干渉解析の試み,日本地震学会2009年秋季大会,S33 X1-09(緊急セッション S33).
  • 国土地理院,2010,2010年1月12日ハイチ共和国の地震に関する合成開口レーダー解析結果,第185回地震予知連絡会本会議資料.(地殻変動研究室)

(9)平成22年度実施計画の概要

 平成21年度に開発した計算ソフトウェア等を用いて、実気象データを利用した水蒸気位相遅延軽減処理の有効性の評価を行う。対話型の位相連続化処理ソフトを既存のSAR干渉処理ソフトウェア“新GSISAR”へ組み込み、多種の実データを用いて検証・修正等を行う。(地殻変動研究室)

(10)実施機関の参加者氏名または部署等名

地理地殻活動研究センター 地殻変動研究室・宇宙測地研究室

他機関との共同研究の有無

宇宙航空研究開発機構(JAXA)

(11)問い合わせ先

  • 部署名等
    地理地殻活動研究センター 研究管理課
  • 電話
    029-864-5954
  • e-mail
    eiss@gsi.go.jp
  • URL