課題番号:7004
気象庁
発震機構解析の高度化
発震機構解析技術を高度化することにより、メカニズム解、モーメントマグニチュード等解析の高精度化・高速化を目指す。
現行の45~100秒のデータを使用するCMT解析では、計算条件を固定にすることにより解析精度を高めることができないか検討する。また、長周期成分が卓越する地震に対応するため、より長周期な成分(100~333秒)を用いたCMT解析の解析手法の改良をすすめる。特に、解析に必要な最低限のデータ長、適切な観測網等に着目して検討を行う。さらに、Wフェーズを用いた発震機構解析の導入に向けて検討を開始する。
国内CMT解析(自動解析)の高度化
国内の観測網だけを使用したCMT解析(自動解析)には、計算誤差に次のような特徴がある。
・千島列島や沖縄などの観測網から離れた地域の地震では、セントロイド距離の誤差が大きくなることがある。
・三陸沖などの沖合いの地震では、メカニズム解が極端な低角になり、Mwが過大評価されてしまうことがある
このためCMT解析(自動解析)においては、このような誤差が大きかった場合に、セントロイドを固定して再計算する手法を導入した。この手法を導入することにより適切な解を求める割合が増えていることを確認した。
全世界CMT解析(自動解析)の高度化
全世界CMT解析では、より長周期な成分(100~333秒)を解析に用いているため理論波形と観測波形の合致度がとても良い。この特徴を活かし、自動で波形選別する際にSN比の情報に加え波形の合致度の情報も用いることとした。これによりノイズの多い観測点が解析に紛れ込むことがほとんどなくなった。
初動メカニズム解については、現在の観測網における客観的な精度評価手法を基にしつつ、観測網が疎な過去のメカニズム解についても客観的な精度評価を行うことができないか検討を開始する。
CMT解析については、規模の大きな近地地震を対象として、より長周期成分(100秒~333秒)を使用し10分のデータ長で解析する手法の調査等を継続する。また、気象庁でリアルタイムに収録している波形データを用いてWフェーズ解析を行えるよう引き続きプログラム等の整備を継続する。
気象庁地震火山部地震予知情報課 発震機構係
無