課題番号:7020

平成21年度年次報告

(1)実施機関名

気象庁

(2)研究課題(または観測項目)名

伊豆半島東部における地磁気全磁力及び自然電位観測

(3)最も関連の深い建議の項目

    • 2.地震・火山現象解明のための観測研究の推進
      • (3)地震発生先行・破壊過程と火山噴火過程
      • (3-1)地震発生先行過程
        • ア.観測データによる先行現象の評価

(4)その他関連する建議の項目

  • 1.地震・火山現象予測のための観測研究の推進
    • (1)地震・火山現象のモニタリングシステムの高度化
      • イ.地震発生・火山噴火の可能性の高い地域

(5)本課題の5か年の到達目標

伊東市御石ヶ沢付近における地磁気全磁力観測(連続及び繰り返し)を継続するとともに、データ補正手法について調査研究を進め、全磁力観測データから地殻活動の変動に伴う変化成分を評価することにより、伊豆半島東部の地震活動、地殻変動等と地磁気全磁力変化の関係を調査する。また、地下水の流動等と関係のある自然電位の観測を実施し、火山との関連を調査する。

(6)本課題の5か年計画の概要

下記(1)~(3)を実施し、伊豆半島東部の地震活動、地殻変動等と地磁気全磁力変化の関係を調査する。
(1)御石ヶ沢付近における全磁力連続観測、繰り返し観測及び伏角測定の実施
(2)御石ヶ沢付近における自然電位測定領域の現地調査及び自然電位観測の実施、並びに自然電位連続観測における環境ノイズの影響調査のための観測
(3)全磁力観測に関する補正手法の調査、適用、評価、並びに傾斜変動に関係するピエゾ調査

(7)平成21年度成果の概要

全磁力観測及び伏角測定について、連続観測点及び繰り返し観測点でそれぞれ実施した(図1)。また、自然電位連続観測について、自然電位のベース地点近傍に測器を設置し計測した。
○全磁力連続及び繰り返し観測: 柿岡基準では、2009年12月17~18日の地震発生に伴い、傾斜変動に関係すると思われるような特異な変化は見られなかった(図2)。連続点、N点、N参照点及びN(new)点については、ほぼ横ばいで、W点及びS点については、これまでの観測で見られる減少傾向を示した(図3) 。
○伏角測定:  2地点間の伏角差を求めることにより見掛けの地磁気変動成分を除去した研究成果について調査した。伏角測定の結果、伏角には高度方向の差が殆ど無いことが分かったので、地上高1.2mで測定した結果が利用できる。また、連続点と繰り返しW点の伏角の違いから、伊東御石ヶ沢における全磁力観測では、伏角が全磁力値に影響する地点と殆ど影響しない地点があることが示唆された(図4)。
○自然電位観測: 自然電位の連続測定結果については、環境ノイズの大きさは数mVしかないことが分かった(図5)。このため御石ヶ沢付近の自然電位観測には、ほぼ補正の必要がないことが示唆された

(8)平成21年度の成果に関連の深いもので、平成21年度に公表された主な成果物(論文・報告書等)

  • なし

(9)平成22年度実施計画の概要

傾斜変動に関係するピエゾを調査するために、御石ヶ沢付近における全磁力連続観測及び繰り返し観測、並びに自然電位測定領域ルート決定のための現地調査を実施する。更に、全磁力観測に関する補正手法の適用を検討する。

(10)実施機関の参加者氏名または部署等名

気象庁地磁気観測所調査課

他機関との共同研究の有無

(11)問い合わせ先


御石ヶ沢付近における地磁気全磁力連続点1点及び繰り返し点4点配置図


全磁力連続観測の傾向: 全磁力連続観測結果(上)、地震回数(下)


全磁力繰り返し観測結果(柿岡基準)


観測点での伏角計測結果
高さが同じ場合は、観測者が違う結果。W,E,N,Sは中心からそれぞれの方角へ1mの地点、Cは中心位置をそれぞれ表す。

伊東御石ヶ沢の自然電位連続観測結果
自然電位のベース地点近傍に測器を設置し連続計測した結果、環境ノイズの大きさを示すデータが得られた。