課題番号:8006
海上保安庁
海底地殻変動観測
プレート境界近傍で発生する地震の震源と発震機構解を高精度で推定することにより、アスペリティ周辺のプレート内応力状態の空間変化を明らかにするため、GPS-音響測距結合方式による海底地殻変動観測を継続するとともに高度化を進め、効率的で安定した計測技術の開発を行う。
引き続き、宮城沖地震、東南海・南海地震等の海溝型地震の発生が想定される海域において、海底地殻変動観測を継続するとともに、観測技術の開発・高度化を図る。
既設の海底基準点において海底地殻変動観測を実施した。また、「熊野灘」および「釜石沖」に設置している海底基準点において海底局の更新作業を実施した。
日本海溝沿いに設置している海底基準点においては、「宮城沖1」、「宮城沖2」及び「福島沖」の各海底基準点における最近の結果について、地震予知連絡会等で報告した。特に「宮城沖2」海底基準点においては、2005年6月から2009年3月までの観測結果から、2005年8月16日宮城県沖の地震(M7.2)によるひずみの開放から蓄積開始に至る一連の過程を海底で初めて捉えることに成功した。同基準点は6.5cm/年の速さで西北西に移動しており、付近の海底下では、2007年頃から太平洋プレートの沈み込みに伴うひずみの蓄積が始まったと考えられる(第1図、第2図)。
南海トラフ沿い、御前埼から室戸岬の沖合にかけて設置している6ヶ所の海底基準点においては、各点とも西~北西の方向に年間2~5cm程度の速さで移動しているという結果が得られ、地震予知連絡会等で報告した(第3図)。
また、平成21年8月11日に発生した駿河湾の地震(M6.5)後には、震源域から南南西約80kmの地点に設置されている「東海沖1」海底基準点において臨時の海底地殻変動観測を実施し、その観測結果を地震調査委員会において報告した。地震に伴うと判断される顕著な地殻変動は検出されていない(第4図、第5図)。
既設の海底基準点において継続的な観測を実施するとともに、適宜海底局の更新作業を実施する。
海上保安庁海洋情報部海洋調査課航法測地室
有
東京大学生産技術研究所、東北大学大学院理学研究科