カテゴリー別アーカイブ: 部門・センターの研究活動

東北地方太平洋沖地震後の関東領域におけるM4以上の地震数の推移(赤:予測,黒:観測).

東北地方太平洋沖地震後の関東領域におけるM4以上の地震数の推移(赤:予測,黒:観測).

2012年4月11日に発生したスマトラ地震によって誘発された深部低周波微動.色付きの大きな丸が今回検出された誘発微動で,白抜きの小さな丸は以前の研究で検出されている誘発微動である.各波形はそれぞれの地域における表面波トランスバース成分記録及び水平動成分の2-8 Hzのバンドパスフィルター記録で,時刻ゼロがスマトラ地震の発震時を示す.小さい黄色の丸印は2003年から2012年までの西南日本に発生した深部低周波微動,橙色の星印は浅部超低周波地震である.

2012年4月11日に発生したスマトラ地震によって誘発された深部低周波微動.色付きの大きな丸が今回検出された誘発微動で,白抜きの小さな丸は以前の研究で検出されている誘発微動である.各波形はそれぞれの地域における表面波トランスバース成分記録及び水平動成分の2-8 Hzのバンドパスフィルター記録で,時刻ゼロがスマトラ地震の発震時を示す.小さい黄色の丸印は2003年から2012年までの西南日本に発生した深部低周波微動,橙色の星印は浅部超低周波地震である.

3.10.6 霧島新燃岳の2017-2018年再噴火に伴う傾斜変動

 霧島山新燃岳では,2011年に約300年ぶりの本格的なマグマ噴火が発生し,山頂火口を溶岩が埋めた.2011年9月の噴火を最後に表面的な活動は停滞していたが,無人ヘリを用いた空中磁気測量により火口内溶岩の冷却が進行している様子が観測される一方で,GNSS観測網のデータを用いた地殻変動解析によると,新燃岳北西のマグマ溜まりの膨張が間欠的に続いていた.
 2017年2月以降,新燃岳北西のマグマ溜まりの膨張が再び始まり,比較的速い速度で膨張が続いた後,2017年10月11日に噴火が発生した.噴火活動は断続的な小規模噴火から爆発的な噴火に移行し,火口内へ新たに流出した溶岩は2011年の活動で火口を満たしていた溶岩を覆った.更に,火口から溢れだした溶岩は北西斜面を200 mほど流下した.その後,噴煙柱の高さが3000 mを超える噴火が頻発し,6月下旬まで爆発的噴火の発生が続いた.
 新燃岳火口近傍に我々が展開する広帯域地震観測網のデータを解析したところ,噴火の2日前には火口直下浅部への流体移動を示唆する傾斜変動(図3.10.1)と微動が観測されていた.また,それぞれの爆発的噴火の20-30分前には山体がゆっくり膨らみ,噴火の数分から10分ほど前からわずかに収縮した後に噴火に至る様子が観測された.これらの傾斜変動は火口から遠い観測点では見えず近傍観測点のみで検出された.このことから,噴火に先行する山体内の現象を検出する上で火口近傍観測が有効な手段であることが示されたと言える.

Fig.6

図3.8.6 月面に衝突した一次宇宙線が生成する,上向き電子陽電子の,月面上空100kmにおけるエネルギースペクトル.太線・細線は,月面の組成をケイ素・氷とした場合である.密度は2g/ccとしてある.組成の違いによって,月面から上方に放射される二次宇宙線のスペクトルが変化することがわかる.

Fig.5

図3.8.5 (a)大室山の地形を用いた深さごとの再構成イメージ(64方向).(b)ある深さ,ある緯度における密度初期モデルと再構成された密度イメージの比較(Nagahara and Miyamoto, 2018 に加筆).

FIG4

図3.8.4 アップグレードしたリアルタイム透視画像表示システム.第2世代用透視画像表示システム(上)及び第3世代用透視画像システム(下).リニア,ログスケール表示を選択できる.