平成11年度地震研究所職員研修会プログラム

6月30日 所外研修 , 7月1日、2日 技術発表

 

6月30日  所外研修

「気象庁地震火山部」 地震・火山活動監視の最前線を見る

 

7月1日  技術発表

■ 平野 憲雄 (京都大学防災研究所技術室): UNIXの2000年問題対応とサーバー再構築

EメールやWWWのサーバーとして早くから活躍しているワークステーションの2000年問題の解決策は、OSの対応だけでなく、もろもろのソフトの再インストールも必要である。別のマシンで同じホスト名の影武者を作って入れ替えを行い、サービスの中断時間を短くし、障害に強いサーバーシステムを作った。ネットワーク管理の初心者ゆえの失敗例をあげながら苦労話もとりまぜて報告する。

■ 松嶋 信代:海半球プロジェクト

海半球観測研究センターが発足し2年経過しました。設置以来海半球観測研究センターではどのような観測研究が行われてきたのかを『観測点』にスポットをあてて、海半球観測研究センターの事務局マネージメントの概要を御紹介します。

■ 渡邊 トキエ:空中写真について

活断層研究事務局の仕事の一環として、「空中写真」の整理や管理に携わっています。今回は、空中写真とはどのようなものか、また、空中写真が活断層の研究にどのように利用されるのかについてお話します。また、地震研究所で所有している空中写真の整理や管理状況について紹介します。

■ 加藤 育子:『観測終了により、50年間の筑波観測所のデータ処理報告』

筑波地震観測所のデータ(水管傾斜計、シリカ傾斜計、地震計、降量、気温)を旧地震活動部門から引き続き処理(ファイル入力、図形)し、所有しておりました。データを取っていた渡辺氏が昨年退職し、更にこの3月、情報センターの計算機の機種更新があり、ファイルを整理し終了といたしましたのでその報告です。

■ 立花 憲司 他6名(東北大学 大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター): 東北大学における地殻変動連続観測

昭和43年に観測所に勤務,以来約30年間,主に地面の伸び縮み,傾斜を測る地殻変動連続観測の仕事に携わってきた.発表では東北大学における地殻変動連続観測の紹介と奨励研究(B)で採択された研究課題の結果について報告する.

■ 高山 鉄朗(京都大学防災研究所附属 火山活動研究センター桜島火山観測所): 桜島火山観測所の紹介

昭和30年の南岳山頂噴火を契機に発足した桜島火山観測所の紹介と2・3の観測成果を発表する.

渡辺 茂: 伊豆半島・富士川観測所周辺地震観測点現地研修会報告

東京・観測所間の相互協力体制・相互理解を図って行く中で、各観測点の現状を知り・把握する事が必要であると言う過程で行われた現地研修会の報告。

■ 羽田 敏夫他22名:「日常業務としている地震データ処理の知識をより深める」

データ処理を日常的に行っている人の知識向上をめざした講習会として、winシステムに詳しい講師2名から講義とUNIXマシンを数台使っての実践形式で研修を受けた。その内容を報告する。

■ 三浦 勝美ほか8名: 風化層におけるより安定した地震計台の開発

岩盤上に地震計を設置できない場所で,より良好な地動波形を得るため,深さの異なる3種類のコンクリート製の地震計台を作成し試験観測を行った.試験観測によって得られた結果を報告する.

■ 柴尾 美紀子: 図書・雑誌の所蔵検索と雑誌記事索引検索

昨年度地震研図書室では和図書を全冊入力し、本年末までにはロシア語図書をのぞく洋図書を全冊入力する。これによって研究室、観測所から所蔵を確認できることと、国内学術雑誌(7000誌)の記事索引を紹介し、研究活動に利用して もらう。

■ 鈴木敦生(北海道大学大学院理学研究科附属地震火山研究観測センター・有珠火山観測所): 有珠山での水位観測

有珠山で継続して観測している2点の水位観測と水位観測時の体験を御紹介します.

■ 石川 良宣・小山 茂: 伊豆の全磁力観測点について

観測点はそれぞれ環境がちがいます(ノイズ.動植物.地形など)それらをふまえて観測点を紹介します。

■ 長田 昇 : 富士山観測点に設置した据置型密封蓄電池について

商用電源のない観測点では、必要な電力を太陽電池と蓄電池の組み合わせでまかなっている。最近になって古くなった蓄電池を、メンテナンスフリーの蓄電池に取り替えた。この蓄電池の特徴と、電源装置の点検作業について報告する。

平田 安廣 : 携帯電話を利用したデータ収集システムの紹介

緊急時または臨時観測などで観測点を選定する場合,観測の目的にもよるが出来る限り異常地域での観測点確保が望まれる.しかし,問題になるのは,商用電源や公衆回線の確保が極めて困難な場合である.このような環境下でも携帯電話の通信圏内であれば観測・データ収集が出来る見通しがついたので,手石島観測点(伊東市)に設置したシステムについて紹介する.なお,このシステムは観測計器以外,市販の物品で構成しているので安価である.

■ 望月 裕峰:緊急時連絡システムの実用化テスト(発表終了後実演を行う)

緊急時(被害地震発生時等)に、現場と東京(本所)間で、誰もが簡単に、また正確かつ敏速に情報のやりとりが出来るような情報伝達手段の標準化をめざした。ノート型パソコン(Dos/V機種,OS:Windows 98 or95)を使用し、モデム(モバイルカード96P1、96F2など)を介し、公衆回線、携帯・衛星電話の通信段を利用し、本所のSashibaに接続した。送られた情報は、本所のホームページにリンクを張ることで、現場も含め誰もが見る事が出来るようにした。

  

7月2日(金)

■ 松尾成光 .平野憲雄 (京都大学防災研究所地震予知研究センター): 超音波を利用した海中精密音響測距装置について

防災研究所地震予知研究センターでは、海底地殻変動観測のための精密音響測距装置の開発に取り組んでいますのでここでは海中における測距システムの紹介をします。 

■ 荻野 泉他8名: 融雪装置の開発及び実験

衛星観測機器の1部分である融雪装置に発生したトラブルとその対策,及び地震研開発グループの各種実験と成果を報告する.

■ 信越地震観測所 橋本信一、小林 勝、酒井 要、羽田敏夫: 東北合同観測における衛星可搬局の設置例

地震観測は有線(NTT専用回線)テレメータ、無線テレメータを使用したデータ収集から衛星通信を利用したテレメータ方式に移ってきた。'97年〜'99年まで東北地方で可搬型衛星テレメータ装置を使っての合同観測が実施された。それぞれ趣向を凝らし設置された事と思うがここでは信越地震観測所の設置例を紹介したい。

■ 小山 悦郎・竹田 豊太郎: 「浅間火山における水準測量方法の工夫とその成果」

浅間火山の火山活動は現在静穏で,地殻変動が小さい.測量精度向上のために行っている器械の改良や測定手法の工夫,およびその成果を紹介する.

■ 高橋正義: 軽量小型強震計の開発と観測について

開発目的は、大地震直後あるいは地震発生が危惧された時点で速やかに強震観測を行うと同時に高質データ収録機器を一体化することにより機動観測に役立てることを目標に開発されたので紹介します。なお、軽量小型強震計の開発成果は科学研究費(「機動強震アレイ観測のための軽量小型強震計の製作と観測・解析マニアルの作成」研究代表者:工藤一嘉)の研究成果報告書の一部である事を申し添えます。

 

技術官全体研修会概要