FOGコンパスの使い方PDF版はこちら
2008/05/09
東京大学 地震研究所
渡邉 篤志

(2008/11/12 一部修正)
(2012/11/21 一部修正)

地震計や傾斜計などの測定機器は正しく東西/南北を向くように設置しますが,観測坑の中はもちろん鉄筋鉄骨や溶岩流など磁性体が近くにあったのでは,方位磁針の指す方向は信用できません. そんな時,日本航空電子工業(株)製 FOGコンパス JM7711を使って方位測定をします.(もう製造していません.大切に使いましょう.)
FOGコンパスとは,光ファイバジャイロ(Fiber Optic Giro)を利用し,地球の自転運動から正確な方位を算出する装置です. 光ファイバジャイロの原理はサニャック効果と呼ばれていて,大まかに説明すると次のようになります.

静止している光ファイバの輪に光を入れると,右回りの光も左回りの光も同じ距離を進んで戻ってきます. しかし,光ファイバの輪が右回転すると,その分だけ右回りの光は進むべき距離が増えて,左回りの光は進むべき距離が減ります. これは,相対性理論の光速度不変の原理に基づいています. 戻ってきた2つの光を干渉させることで光路長の変化を検知して回転角速度を算出していますが,極めて微少な変化なので1km程度の長〜い光ファイバをコイル状に巻いて距離を伸ばしています.
もっと詳しいことは,各自で調べて下さい.

用意するもの

方位測定の手順

  1. 本体をほぼ水平に(±5°以内に)がたつきのないように置きます.測定中は静止していないといけません.

  2. ケーブルを本体の「電源/入出力」コネクタ,バッテリ,PCのRS-232ポートもしくは変換ケーブルを介してUSBポートに接続します.
    バッテリの極性を間違えないように注意しましょう.
    COMポートの設定はこちら

  3. PCでCompassys.exeを起動します.
    ver 2.1ではCOMポートを選択するよう求められますので,使用するポートを選択します.
    (変換ケーブルを使用していてCOMポート番号が分からない場合はこちら

    ver 2.0以前では暗黙の内にCOM1を使います.

  4. 本体の電源スイッチを入れます.

  5. Compassysの緯度設定欄に現在地の緯度を入力して「設定」を押します.
    北緯35度43.1分ならば,「N35431」と入力します.
    設定緯度に10分の誤差があると,測定結果に0.02度の誤差を生じます.

  6. 測定のログを録りたければ,「保存開始」を押します.
    測定結果が30秒毎にCompassys.exeと同じディレクトリに保存されます.

  7. 本体の電源を入れてから約10分経つと探北が完了し,CompassysのHDG欄に方位が表示されます.
    この時の精度は約1度です.
    この精度で十分であれば,9.へ進みます.

  8. 更に約20分経つとW/U(ウォーミングアップ)が完了し,約0.2度の精度で表示されます.

  9. ログを録っていた場合,「保存終了」を押します.

  10. シャットダウンをするため,シャットダウン制御欄の「シャットダウン」を選択して「設定」を押します.

  11. 「S/D完了」と表示されたら,本体の電源スイッチを切って,各ケーブル類を外します.

注意事項

COMポート番号が分からない時は…

  1. マイコンピュータを右クリック→プロパティ,もしくはコントロールパネルからシステムを開きます.
  2. 「ハードウェア」→「デバイス マネージャ」を開きます.
  3. 「ポート(COMとLPT)」を開いて,変換ケーブルが何番のCOMポートを使用しているのかを確認します.
  4. Compassys.exeはCOM1〜COM7しか選択できないので,もしCOM8以降だったら以下のようにして番号を変更します.

    1. 該当ポートをダブルクリックして,ポートのプロパティを開きます.
    2. 「ポートの設定」→「詳細設定」を開きます.
    3. COMポートの番号を適切な番号に変更します.

  5. 方位測定が終わったら,忘れずにCOMポート番号を元に戻しておきましょう.

COMポートの設定
ビット/秒9,600
データビット8
パリティなし
ストップビット1
フロー制御なし

もどる