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日本海地震・津波調査プロジェクト

(2) 津波波源モデル・震源断層モデルの構築R

 日本海とその沿岸において、津波や強震動を発生させる波源および震源断層について直接的なデータにもとづいて、津波波源モデル・震源断層モデルを構築することを目的として調査を行う。また、海溝型地震と内陸沿岸地震の関連メカニズムの評価の準備として震源断層を含む数値モデルによる検討を行う。このため本サブプロジェクトは、以下の個別研究テーマの調査・研究を行う。

2-1 歴史地震・古津波調査

 日本海沿岸域での地震波形記録・歴史史料と津波堆積物の解析を進め、津波波源の推定と津波波源モデル構築の基礎資料を得る。

2-1-1 「歴史文書・地震記録の調査」

担当責任者: 佐竹 健治 教授 東京大学地震研究所

震源が知られている20世紀に発生した大地震(M7クラス)の地震記録の再解析と、北海道から九州に至る日本海沿岸域での歴史史料の解析を進め、津波波源域の推定に必要な基礎資料を得る。

□ 運営委員会資料

2-1-2 「津波堆積物の調査」  

担当責任者: 卜部 厚志 准教授 新潟大学災害・復興科学研究所

北海道から九州に至る日本海沿岸域での津波堆積物の新たな認定手法も含めた検討と履歴・遡上範囲の解析を行い、歴史時代以前における津波波源の推定に必要な基礎資料を得る。

運営委員会資料


2-2 海域構造調査

制御震源による日本海海域の構造探査と、海底自然地震観測により、津波波源モデルの構築に必要な基礎資料を得る。

2-2-1 「沖合構造調査」

担当責任者: 小平 秀一 研究開発センター長 海洋研究開発機構

北海道北西沖~鳥取沖にかけての日本海の沿岸部から大和海盆・日本海盆に至る海域において、長大ストリーマケーブルを用いたマルチチャンネル反射法地震探査と海底地震計を用いた地震探査を実施し、日本海の地殻構造・断層の位置と形状を明らかにする。

運営委員会資料

2-2-2 「海域プレート構造調査」

担当責任者: 篠原 雅尚 教授 東京大学地震研究所

日本海域において海底地震観測を行い、プレート構造を明らかにし、津波波源モデル・震源断層モデルや数値構造モデルに必要な基礎資料を得る。

運営委員会資料


2-3 「沿岸海域および海陸統合構造調査」

担当責任者: 佐藤 比呂志 教授 東京大学地震研究所

震源断層・津波の波源断層の位置と形状を明らかにするために、北海道から九州北部にいたる日本海沿岸地域において、マルチチャネル反射法地震探査を行う。また、海陸統合構造調査を行い日本海~陸域にいたる複雑な海陸接合部を含む基本的な地殻構造を明らかにし、津波波源モデル・震源断層モデルの高度化のための基礎資料を得る。

運営委員会資料


2-4 「陸域活構造調査」

担当責任者: 石山 達也 助教 東京大学地震研究所

陸域の変動地形学的調査と地下構造調査を組み合わせ、沿岸域の震源断層モデルの高度化に資する資料を得る。

運営委員会資料


2-5 津波波源モデル・震源断層モデルの構築

サブテーマ(2)で得られる資料を総合させて、日本海とその沿岸地域の津波波源モデル・強震動モデルに必要な断層の形状と断層面上のすべり角についてのモデルを構築する。

2-5-1 「断層モデルの構築」

担当責任者: 佐藤 比呂志 教授 東京大学地震研究所

サブテーマ(2)で得られる成果と日本海とその沿岸における既存の資料を総合させて、津波及び強震動の予測に必要な断層の形状モデルを構築する。初年度に初期モデルを構築し、調査の進展に従い逐次更新する。(3)の津波予測・強震動予測の結果と、(2-1)の歴史地震・古津波調査の結果を総合に検討し、妥当な震源断層モデルを構築する。

運営委員会資料

2-5-2 「沿岸域の地震活動の把握」

担当責任者: 松原 誠  主任研究員 防災科学技術研究所 (平成26年度~)

陸域の自然地震観測網のデータを基に、詳細な震源分布を明らかにし、地震発生層の下限をもとに断層面の深さについて推定する。また、発震機構解をもとに断層面上の滑り角を推定する。

運営委員会資料

2-5-3 「構成岩石モデルの構築」

       

担当責任者: 石川 正弘 教授 横浜国立大学

岩石と鉱物の弾性波速度およびレオロジーに関する既存データを整理する。主要造岩鉱物の多結晶焼結体を作成する。岩石の弾性波速度測定実験を行なう。万能試験機による高温変形実験の準備段階として予備実験を行う。

運営委員会資料

    

2-6 「海溝型地震と内陸沿岸地震の関連メカニズムの評価準備」

担当責任者: 佐藤 比呂志 教授 東京大学地震研究所

海域・海陸統合構造調査などによって得られるデータ(2-2、 2-3)や、構成岩石モデル(2-5-3)から得られるレオロジー特性を反映させ、より現実的な日本海周辺域の構造を反映した構造モデルを構築する。この構造モデル内に、断層の形状モデル(2-5-1)を取り入れ、プレート境界での変位に伴う内陸の断層面上での応力変化を求めることにより、海溝型地震と内陸沿岸地震の関連メカニズムの評価準備を行う。

運営委員会資料


東 京 大 学 地 震 研 究 所

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